――「Pairs」以外の主要なマッチングアプリをすべて内部から経験してきたキャリアですね。婚活アプリの強みは何だと思いますか。
私自身も夫との出会いで感じたことですが、やはり人間が実生活で持てるつながりの限界値を超えられることです。例えば、大学時代のつながりで1000人とお見合いするのは無理ですよね。アプリなら1万人でも可能です。
コミュニケーションの勉強に「出会いの量」は必要
――お言葉を返すようですが、自分が「いいね」した相手から本気で「いいね」をもらえる確率は低いのではないでしょうか。外見や年齢、年収などの条件が良くない人ほどその傾向は強まると僕は取材をしながら感じています。また、たくさんのお見合い候補者がいると、いつまで経っても1人に決められないという事態に陥りかねません。
アメリカにいた頃の私のように一定年齢を過ぎた方の場合は、「締め切りを設けること」がお勧めです。私は、一定期間内に結婚相手が見つからないときはアプリをやめて帰国して結婚相手を見つけよう、と思い詰めていました。
若い方の場合はトライアンドエラーを繰り返してもいいのではないでしょうか。犯罪に巻き込まれるような危険に遭ってはいけませんが、若いうちの失恋などはコミュニケーションの勉強になるからです。そのためには出会いの量が必要で、マッチングアプリはお役に立てると思います。
――なるほど。確かにトライアンドエラーの場としては便利ですね。
とはいえ、価値観がまったく合わない人と一緒にいるのはつらいことです。withとOmiaiは条件だけではなく価値観でのマッチングを重視しており、特にwithでは登録する際に「超性格分析」という心理テストを必ず受けていただいています。自分の性格を客観的に知り、相手との関係性に求めるものを理解することを促す仕組みです。
登録後も2週間に1回ペースで「お金」や「時間」といったテーマに関する心理テストを任意で受けることができ、同じような価値観を持った方をご紹介しています。婚活をしている人の中には外見などに自信が持てない方もいますが、その人自身もそうした条件を相手に求めていないことが少なくありません。内面での一致がやはり重要だと考えています。
――アプリの危険性について質問させてください。2021年4月に、Omiaiへの不正アクセスによる個人情報の流出事件がありました。その後の安全対策についてお聞かせください。
エニトグループが発足する以前に起きた事件ですが、利用者の方にご心配ご迷惑をおかけしたことはもちろんのこと、マッチングアプリ業界全体に与えた負の影響は大きく、大変遺憾なことです。二度と起こさないために、大きく分けて2つの再発防止策を立てています。
1つ目は、個人情報の保存期間の見直しです。以前は警察からの問い合わせ対応のためなどに数年間保存していました。現在は退会した方の個人情報は90日後に自動的に削除される仕組みに変えてあります。
2つ目は、セキュリティ体制の強化です。第三者機関による脆弱性診断を定期的に受けるなどのルールを厳格化して、個人情報を扱う企業が当然やるべきことをきちんと実施しています。
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