「音楽聴き放題」の大混戦に待ち受ける現実

アップル、LINE、AWAの優劣は速攻で決する

「AWA」はスポティファイを研究した、おしゃれな作りが特徴。サイバーエージェントがアプリ作りと運営を担当している

対するAWAも「7月末で300万ダウンロードに達する」(サイバーエージェント藤田晋社長)など、好調な出足だ。世界最大手・英スポティファイを研究し尽くしたアプリが特徴で、MORNING、SLEEP、STUDY、DRIVEなどと、シチュエーション別にプレイリストを表示する機能もある。「アップルとは違った特徴を出していく。ユーザーの趣味に合う曲を提案し、無料のYouTubeで満足している層を取り込みたい」(若泉久央取締役)。

実は、LINE、AWAともにサービスを主導したのはエイベックスといっていい。同社は2014年春に業界トップのソニーを説得、両社で合弁会社を設立する方針が決まっていた。そこに、前述のLINEが加わり、LINEミュージックに発展したわけだ。

だが、エイベックスは水面下で別のサービスを模索し、昨年11月にサイバーエージェントと合弁会社(現AWA)を立ち上げる。昨年夏にエイベックス松浦勝人社長とサイバー藤田社長の両トップで決めたものだった。先に手を組んでいたソニーは激怒したというが、結局はAWAへの楽曲提供を決断する。それほどレコード会社としての危機感は強いものがあった。

立ち上がった市場はすでに供給過多?

一気に立ち上がったストリーミング市場だが、待ち受けるのは激しい競争だ。現在、国内の既存勢力は携帯会社のサービス。NTTドコモの「dヒッツ」(会員数305万、レコチョクと運営)は、アーティストやジャンル、最新曲などに分かれた番組を選択して楽曲を聴く「ラジオ型」がメインのサービスだ。オンデマンド型より許諾が得られやすいため、邦楽の配信アーティストは多い。

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「他社サービスに配信されていない有名アーティストの楽曲を聴けることが最大の強み。ドコモショップ店頭で使い方を紹介することで、アクティブ率も高まっている。今後は積極的なマーケティングを仕掛けていく」(コンシューマビジネス推進部長の前田義晃氏)。4月には特定の曲を毎月10曲まで登録し、再生できるオンデマンド型に近い機能も搭載、9月上旬にはフェイスブックと連携し、タイムラインに楽曲を投稿するコミュニケーションの仕組みも整える。

また、ライバル襲来に備え、5月にユーザーの趣向にあった曲を提案するレコメンド機能の強化に舵を切った。同機能を提供するのは東証マザーズ上場のソケッツ。同社は曲を人力で2000項目(リズム、曲調、楽器の種類、ボーカルの声質、コード進行、歌詞の内容など)に分類したデータベースを持つ。

アーティストやジャンルだけでなく、「しゃがれ声のボーカルでアコースティックギターを使った曲」「失恋でも、前向きな歌詞で旅立ちのイメージの曲」などと、細かな組み合わせが可能だ。浦部浩司社長は「いずれ、どのサービスも楽曲数は大差なくなる。今後は再生履歴を基に、どれだけユーザーの好みに合った曲を提案できるかという競争になる」と予見する。

実際、KDDIも5月に「うたパス」(会員数約100万)の楽曲データベースをレコチョクから子会社でストリーミングサービスを展開する「KKBOX」(台湾)に切り替え、レコメンド機能を強化中だ。うたパスは最新ヒッツ、ジャンル別に約400のチャンネルから選ぶラジオ型サービス。テレビの情報番組で取り上げられたアーティストを特集するなど、毎日チャンネルを更新している。

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