アップルが「折りたたみ」をやらざるをえない理由 海外では折りたたみ時で1センチ未満のスマホも
アップルがやらざるをえない理由
例えばサムスンの高性能カメラモデルであるGalaxy S24 Ultraは18万9700円だが、折りたたみモデルのGalaxy Z Fold6は24万9800円だ。また、縦折り型のコンパクトな折りたたみモデル、Galaxy Z Flip6は15万9000円、それに対してストレート型の一般的なスマートフォンであるGalaxy S24は12万4700円となっている。単純に比較はできないものの、折りたたみモデルは一般的なストレート形状のモデルよりも高価格だ。それでも一定数売れており、年々販売台数を伸ばしている。
「カメラが良い」「本体性能が高い」スマートフォンは、すでに各スマートフォンメーカーがフラッグシップモデルとして投入している。しかし、その製品を最高価格で売るのはもはや難しい。そこで折りたたみスマートフォンを高価格なプレミアムモデルとしてメーカーの「顔」とし、利益を稼ぐとともに消費者に先進性のあるメーカーというイメージを植え付けるわけだ。
筆者は2023年10月にドバイのIT系展示会を取材したが、アラブ衣装「ディシュダーシャ」に身をまとった来場者の多くがサムスン電子のGalaxy Z Fold5を所有していた。しかし、彼らの使い方を見ると、折りたたみの本体を開くことなく閉じたまま使っているのである。つまり彼らにとってこのスマートフォンは折りたたみ式だから魅力があるのではなく、高価なモデルであるから所有欲を高められるのかもしれない。
このように中国では「高性能スマホ」と「プレミアムな折りたたみスマホ」の2本柱で各社が製品展開を進めている。そして「高価格・プレミアムモデル製品」を求める層の間で折りたたみスマートフォンへの需要が高まっている。Counterpoint Researchによると、2024年第1四半期の世界の折りたたみスマートフォンのシェア1位は、ほとんど中国でしか製品を売っていないファーウェイだった。いかに中国で同社の折りたたみモデルが売れているかを認識させられる結果といえるだろう。
この状況が進めば、折りたたみモデルのないiPhoneの製品ラインナップに魅力を感じなくなる中国の消費者は確実に増えていくだろう。事実、アップルは稼ぎ頭であった中国での業績を落とし始めている。それを打破するためには新世代iPhoneの投入が必須であり、その製品は本体性能やカメラの使い勝手を強化した程度ではまったく力不足だ。噂はさておき、アップルが折りたたみ式iPhoneの投入を、本気で急がねばならない状況にあることは確かだ。
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