アップルが「折りたたみ」をやらざるをえない理由 海外では折りたたみ時で1センチ未満のスマホも

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サムスンは2023年7月に「Galaxy Z Fold5」、そして2024年7月には「Galaxy Z Fold6」を発表し、サイズの薄型化と軽量化を進めていった。しかし、中国メーカーはそれを上回る速さで小型化を成し遂げていったのだ。この動きの速さはサムスンの予想をはるかに超えたものであり、市場がここまで動くとは予想もしていなかったに違いない。

では、前述した「Xiaomi MIX Fold4」より薄いモデルとは何か。2024年7月時点で世界最薄の折りたたみスマートフォンはオナー(HONOR)の「Magic V3」である。サムスンの発表から2日後に発表されたこのモデルは、重量こそシャオミMIX Fold 4と同じ226グラムだが、閉じたときの厚さは9.2ミリとシャオミよりさらに0.3ミリ薄い。さらに本体を開いたときの厚さは4.35ミリとこちらも世界最薄だ。シャオミのMIX Fold 4も4.59ミリと十分薄いが、薄型化技術ではオナーが上回っている。

横折りスタイルのスマホで世界最薄のHONOR Magic V3(写真:HONOR提供)

折りたたみの新モデルが続々登場

それでは折りたたみスマートフォンはグローバル市場でどれくらい売れているのか。調査会社IDCによると、2023年の折りたたみスマートフォンの出荷台数は1810万台だった。一方、スマートフォン全体の出荷台数は11億6690万台。折りたたみスマートフォンの割合は全体の2%にも満たない。同社によると2024年の予測台数は2500万台、2028年でも4570万台であり、全出荷台数が変わらないとした場合でも約4%にとどまる。

それにも関わらずスマートフォン大手各社は折りたたみスマートフォンの新規開発にしのぎを削っている。その理由はスマートフォンの次の進化モデルとして折りたたみスマートフォンに期待を寄せているからだ。

スマートフォンの本体性能は現状のアプリケーションやサービスを使う限り、ほぼ満足できる領域に到達した。今や5万円程度のスマートフォンでも十分なカメラ性能を搭載している。また、英国のベンチャー企業、Nothing(ナッシング)のように、性能よりもデザインやユーザーインターフェースに特徴を持たせた新しい概念の製品も登場した。スマートフォンメーカーにとっては高性能をうたう高価格な製品が売りにくくなっているのだ。また、他社との差別化も難しくなりつつある。

しかも先進国のみならず中国でもスマートフォン需要は一巡しており、スマートフォンを売るためには買い替え需要に頼らなくてはならない。そのような中で現れた折りたたみスマートフォンは、次世代のスマートフォンとして目新しさを消費者に訴えることが可能であり、さらに比較的高価格で販売できる。

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