アップルが「折りたたみ」をやらざるをえない理由 海外では折りたたみ時で1センチ未満のスマホも
スマートフォンメーカーながら3月にEV(電気自動車)を発売し、その勢いは増すばかりのシャオミは、7月19日、中国で折りたたみスマートフォン「MIX Fold 4」を発表した。本体の大きさは折りたたんだ状態の厚さがわずか9.47ミリ、重量226グラムと信じられないほど薄くて軽量だ。ちなみにアップルのハイエンド端末「iPhone 15 Pro Max」は、厚さ8.25ミリ、重量221グラム。iPhone 15 Pro Maxのほうが薄くて軽いが、MIX Fold 4は“折りたたみ”スマートフォンであることを忘れてはならない。MIX Fold 4は閉じたときは6.56インチ、開くと7.98インチの大画面が使える。一方、iPhone 15 Pro Maxは6.7インチの画面“だけ”だ。わずかなサイズ差の両者を比べた時、1台2役で使えるMIX Fold 4のほうが使い勝手のいい製品だと私には思える。
ところが、上には上がいた。中国ではMIX Fold 4よりもさらに薄いモデルが出たのだ。日本ではまだニッチな折りたたみ市場だが、世界では激しい開発競争が繰り広げられているのである。
アップルもサムスンもライバルではない
2019年にサムスンとファーウェイが折りたたみスマートフォンを市場に投入してから今年で5年目となる。当初は画面を曲げられるだけでも目新しさがあったが、各メーカーはカメラ画質を高めるなど性能アップを進めてきた。しかし、2023年にファーウェイが「Mate X3」を出すと一気に風向きが変わった。
Mate X3は、本体を閉じると11.8ミリの厚みで、重量は239グラム。発表時の売りは「iPhone 14 Pro Max(240グラム)より軽い」だ。Mate X3は折りたたみスマートフォンが初めて一般的なスマートフォンと同じサイズ感で戦えるようになった製品であり、中国で折りたたみスマートフォンユーザーを一気に増やした。
当時、ライバルだったサムスンの「Galaxy Z Fold4」は15.8ミリ、263グラムであり、当時の一般的な常識である「折りたたみスマホは厚くて重たい」というイメージそのものだった。ちなみにファーウェイの1ヵ月半後に海外で発表されたグーグルの折りたたみスマートフォン「Pixel Fold」が中国でほとんど話題にならなかったのは、中国で販売されなかったこと以前に重量が283グラムと時代遅れ感があったことが大きい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら