三陽商会「真夏も服を売りたい!」大変貌した理由 夏の長期化に暖冬も、アパレル業界の深刻問題

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そこで今年は、短い丈のコートを昨年より多く投入。綿入りの薄いブルゾンなど、アウターのバリエーションも増やす。商品数を絞りつつ、より季節に合わせた商品を展開していく。

接触冷感素材のドライタッチワンピース(左・カーキ色)、軽さや肌触りのよさが特徴のリバティプリントのワンピース(右)など、暑い時期にも着やすい服を拡充した(記者撮影)

こうした気候変動や温暖化に対応した商品戦略を進めるのは、全社横断の商品開発委員会だ。

8~9月に売り出す盛夏商品の開発や、季節の変わり目の端境期向けのジャストシーズンの商品の開発も、同委員会における重要施策に盛り込まれている。

並行して、同委員会はブランド戦略にも注力する構えだ。例えば、マッキントッシュ ロンドンのコートやポール・スチュアートのパターンオーダースーツといった人気商品は、早い時期の先行受注も好調で、売り切れることもある。

【2024年8月04日14時58分追記】初出時のブランド表記️に誤りがあったため修正しました。

苦手な夏商戦こそ、業界の「伸びしろ」に

「欲しい商品を確実に先行して入手したい」という意識は、とくにブランドの固定ファンやファッション好きの間では揺るぎないものがある。看板商品を磨き上げ、適正な在庫量を確保することはブランドにとって大事な戦略だ。気候の変化に対応し、実需を捉える商品開発と両立させていくことも、商品開発委員会の重要な任務になるだろう。

「(コロナ禍以降に在庫削減を進め)品番数がおよそ半分になったので、デザイナーたちが1つの商品にかけられる時間は単純計算で倍になっている。革新的な商品の開発と今すぐ着られるジャストシーズンの商品の両方に注力したい」(加藤副社長)。

気候変動、温暖化が進めば、アパレル業界が得意としてきた秋冬商戦での逆転はますます難しくなる。苦手な夏商戦を克服していくことは、今後の業界にとっての伸びしろになりそうだ。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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