錦織圭も驚愕「5大会連続メダル」国枝慎吾の凄み 憧れはフェデラー、似てるのはジョコビッチ

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――勝負強さに関しては、国枝さんも同じカテゴリーに入るのでは?

「同じカテゴリーなんて恐れ多くて言えないですけど、でも、ジョコビッチはなんかこう、僕が言うのもなんですけど、ちょっと参考になる部分はありますね」

深掘りしたら、興味深そうな流れだ。さらなる解説を頼んだ。

「人並み外れたパワーがあるわけでもないし、ものすごいビッグサーバーなわけでもない、という意味で似ている気がして。フォアハンドも、バックハンドもすごくうまいけれど、球の威力だけなら、もっとパワフルな選手はいる。車いすテニスで僕よりもっとパワーのある選手はいる。それでもジョコビッチは最強というところが勇気と自信をもらえるところです」

あこがれはフェデラーで、自分と重ねるのはジョコビッチ

――あこがれは、フェデラーだけど、自分と重ねるのはジョコビッチ、ということ?

国枝慎吾 マイ・ワースト・ゲーム 一度きりの人生を輝かせるヒント
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「ビッグ3でいえば、フェデラーは繊細なタッチとか、天性のうまさという感じがするじゃないですか。ナダルは圧倒的なパワー、練習なんか見ていても、すごい。ボールをぶっつぶす感覚の豪打ですし」

――興味深い比較です。

「そうですか? それと、僕はチェアワークは負けない。ジョコビッチも足のフットワークはすごいじゃないですか。そこも似ている気がする」

――改めて確認すると、あこがれはロジャーで、重ねるのはジョコ、と。

「そうなんですよ。勇気をもらえるところは、ありますね」

一瞬、間を置いて、国枝が慌てて言った。

「ジョコビッチのファンにたたかれそうですね、こんなことを言ったら。大丈夫っすか?」

国枝は車いすテニスと健常者のテニスには、観客やテレビなどの注目度に厳然とした差があることをわかっている。だから、自分とジョコビッチを重ね合わせて話すことが、一部で反発を招くのでは、という危惧だった。

心配は無用だろう。国枝の言葉からは、ジョコビッチへの最大級のリスペクトがにじみ出る。

国枝 慎吾 元プロ車いすテニスプレーヤー

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くにえだ しんご / Shingo Kunieda

1984年生まれ。9歳で脊髄腫瘍のため車いす生活となり、11歳で車いすテニスと出会う。2004年、アテネパラリンピックでダブルス金メダル。2006年、アジア人初の世界ランキング1位。2007年、車いすテニス史上初となる年間グランドスラム。2008年、北京パラリンピックでシングルス金メダル。2009年、プロ宣言。2012年のロンドンパラリンピック、2021年の東京パラリンピックでも、シングルス金メダル。2022年、ウィンブルドン選手権を初制覇し、4大大会で優勝する「生涯グランドスラム」に加え、パラリンピックも制覇する「生涯ゴールデンスラム」を達成。2023年に世界ランキング1位のまま引退。2024年より、全米テニス協会の車いすテニス担当のアドバイザーに就任

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稲垣 康介 朝日新聞編集委員

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いながき こうすけ / Kosuke Inagaki

1968年東京都生まれ。1992年、朝日新聞社に入社、東京、大阪のスポーツ部、欧州総局(ロンドン)、アテネ駐在などを経て、現在、スポーツ担当の編集委員。五輪取材歴が長く、夏冬あわせて10大会を現地でカバーしてきた。国枝慎吾選手は2004年アテネパラリンピックで取材したのを縁に長年取材してきた。著書に『ダウン・ザ・ライン 錦織圭』(朝日新聞出版)。

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