錦織圭も驚愕「5大会連続メダル」国枝慎吾の凄み 憧れはフェデラー、似てるのはジョコビッチ
「勝ち進むにつれ、広いトレーニングジムで汗を流す選手がどんどん減っていったんです。とくに最後の3日間ぐらいは、大会序盤はあんなに人がいたのに、僕と国枝さんしかいない場面が何回かあって。なんか日本人2人ですごいなあ、と我ながら思っていましたね。国枝さんが、『試合すごかったね』と声をかけてくれたのを覚えています」
この年、全米オープンのシングルス、ダブルスの2冠に輝いた国枝の記憶はもっと鮮明だった。
錦織が世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破った準決勝をジム内にあるテレビで見ていた。
「帰ってきた錦織くんを待ち受け、イエーイ!とハイタッチで祝福しました」
先に世界の頂点に立ったのは国枝だ。初めて世界ランキング1位になったのは、2006年秋だった。
2007年、国枝は当時の「車いすの4大大会」と称されていたオーストラリア、フランス、日本、アメリカでの主要大会をすべて制した。「年間グランドスラム」の完成だ。ちょうど、錦織がプロに転向したのが、この年になる。
「日本にはクニエダがいるじゃないか」
テニス界のレジェンドであるロジャー・フェデラー(スイス)が、「なぜ日本のテニス界からは世界的な選手が出ないのか」という日本人記者の質問に対し、「日本にはクニエダがいるじゃないか」と発言したのも、このころだ。
幼いころからフェデラーにあこがれてきた錦織は、その逸話を知っていた。2016年のウィンブルドン選手権を直前に控えたころのインタビューで聞いた。
「そりゃあ、知っていますよ。ロジャーにも国枝さんは知られているんだ。すごいなあと思いました」