日本製鉄、中国大手と「合弁解消」が示す関係変化 「生産能力7割減」脱中国鮮明化で米印へ集中

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中国は世界の粗鋼生産の半分以上を担う鉄鋼大国となり、宝鋼を傘下に持つ宝武鋼鉄集団は世界最大の鉄鋼メーカーとなった。その粗鋼生産能力は1億3077万トン(2023年)で、世界4位の日鉄の3倍に達する。

宝鋼を筆頭に自動車向けの高級鋼を手がける中国メーカーも増え、当初BNAが担った役割は失われつつあった。日鉄は合弁解消の理由を、BNA設立時の目的が達成されたためと説明する。

2021年には無方向性電磁鋼板で特許を侵害されたとして日鉄が宝鋼を訴える事件も起きた。日鉄は、今回の合弁解消は訴訟とは無関係とするが、両社の関係が師弟からライバルへと変わったことは否定できない。

業績への影響は軽微

中国の自動車市場では、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)といった新エネルギー車へのシフトが急速に進展。この動きに対応できない日系自動車メーカーは販売台数とシェアを落としている。BNAは日鉄にとっては日系自動車メーカーの需要に応えることを主目的とした合弁設立だったが、その役割も薄れつつある。

そもそも鉄鋼事業という視点からも中国市場の魅力はなくなっている。中国経済の減速で鉄鋼需要が低迷しているにもかかわらず、生産抑制は進まない。供給過剰で現地メーカーの業績は急速に悪化している。

日鉄の2023年度の海外事業の事業利益は1318億円。その半分弱を稼ぐのはインドだ。次いで利益貢献が大きいのは北中米で、東南アジア、南米、中国と続く。

日鉄の中国事業の中核はBNAだが、その2023年の純利益は4.1億元(約85億円)。日鉄が持ち分法利益で取り込めるのはおおむねその半分。合弁を解消しても業績への影響は軽微にとどまる。

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