東電の賠償請求手続き、膨大な書類を前に途方に暮れる住民、自治体も猛反発

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 東電は旧騎西高校で避難生活を送る双葉町住民に対して、9月14日から職員が住民が生活する教室を回って希望者を対象とした説明会の開催を連絡。そのやり方は「住民1人に対して東電職員3人が対応する」というものだった。
 
 だが、「住民から『マンツーマン方式』の説明のやり方に違和感があるとの苦情が複数寄せられた。一方的に単価が決められているなど、内容についても批判が多かった」(大住宗重・双葉町秘書広報課長)。

 「補償金ご請求のご案内」と題された個人向け説明書(写真)は156ページにものぼる。その147ページには「合意書(見本)」という覧がある。
 
 ここでは「なお、上記金額の受領以降は、上記算定明細書記載の各金額及び本合意書記載の各金額について、一切の異議・追加の請求を申し立てることはありません」との一文がある。
 
 飯�村はこの記載を問題視。「一度合意をしてしまうと、その期間のその項目の損害について、それ以上の請求ができなくなるおそれがあります」と文書で村民に注意を促している。

双葉町の井戸川町長は「町民の皆さまへ」と題した文書(9月25日付け、双葉町のホームページに掲載)で、「このような難しい請求書は無視するぐらいの決意がないと町まで壊されてしまいます」と憤りをあらわにしている。

政府は国会答弁で合意書の文面を改めさせることに言及したが、煩雑すぎる手続きや東電が一方的に決めた金額の見直しなど、根本的な問題は解決していない。



■双葉町住民が避難生活を送る旧埼玉県立騎西高校

(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

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