東電の賠償請求手続き、膨大な書類を前に途方に暮れる住民、自治体も猛反発
福島第一原子力発電所事故に関する賠償請求手続きをめぐり、被害を受けた住民や地方自治体が東京電力のやり方に反発を強めている。
第一原発が立地する福島県双葉町では、避難生活を強いられている住民からの苦情を踏まえて井戸川克隆町長が9月17日に東電の西澤俊夫社長に住民向け説明会の中断を要請。現在、住民による賠償請求手続きは事実上中断している。
計画的避難区域に指定され、全住民の避難に追い込まれた飯舘村は、「賠償額に不満や疑念がある場合は、安易に合意しないようにしましょう」と呼びかける文書を28日付けで村民に配布した。
自治体や住民が反発しているのは、東電が9月半ばから住民に配布した請求書類や説明書(タイトル横写真)が膨大なページ数にのぼるうえ、その内容に多くの問題が含まれているためだ。
双葉町が臨時の町役場を置く埼玉県加須市の旧埼玉県立騎西高校。校舎内で避難生活を送る男性(44)は、「精神的損害に対する賠償金が9月から今までの半額以下の5万円に減らされることが書かれていてびっくりした」と話す。
この男性は震災当時、仕事がなく無収入で、東電からの仮払金や義援金で生活費を捻出してきた。当面、東電から払い込まれる賠償金の大半は精神的損害に関わるものに限られるため、減額は死活問題。月5万円という額は、生活保護基準で定められている最低生活費をも大幅に下回るものだ。
58歳の双葉町男性は「請求書類自体にきちんと目を通していない。当面、郵送せずにそのままにしておく」と語る。というのも、東電による説明会が中断しているうえ、請求書類の内容についてもよくわからない点が多いためだ。