米国株の「本格下落」が、いよいよ始まった 強気の投資家がはまった「2つのワナ」とは

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日本国内の景気についてもう少し詳しくみると、特に変調は見当たらない。ただ、内需、特に国内の個人消費が、ベースアップやボーナス増、消費者心理の改善などに沿って、じわじわと回復している一方、円安にもかかわらず輸出数量が伸び悩んでいる。

外需より内需株、大型株より小型株が相対的に優位

このため株式の物色においては、引き続き外需企業よりも内需企業(小売、食品、サービス、日用品など)が優位となろう。今週は4~6月期四半期決算の発表が佳境となるが、全般的には内需優位(外需劣位)が、企業収益面でも確認されると考える。

ちなみに、ギリシャ問題は内外市場の材料として影を潜めたが、中国経済・株価の行方は予断を許さず、加えて米国株価の下落がさらに進むと見込んでいる。つまり、悪材料は海外からやってくることを意味する。こうした環境下では、国内経済ではなく海外経済について不安が広がりやすく、その点でも輸出関連企業の株は買いにくいだろう。

また海外株式市場の本格調整が進めば、グローバルに株式運用を行なう海外短期筋が、日本の投資環境が特に悪いわけではなくても、世界的な市場波乱を受けてリスクを避けるため、日本株の利食い売りを進める恐れがある。短期筋は主に大型株で運用するため、大型株の株価下落が懸念される。

一方、こうしたマクロ的な市場波乱とは距離を置いて、独自に利益成長を遂げる小型企業については、海外長期筋が、企業実態に基づいて、丹念に拾い買いを進めている。このため、小型優位、大型劣位、という図式も継続するだろう。

このようにすべての日本株が一律に売り込まれるわけではなく、輸出株より内需株が、大型株より小型株が、相対的に値持ちがよいだろう。とは言っても、米国発の市場波乱が大きくなれば、日本株が無風で済むわけではなく、相場全般として下落は避けられないだろう。

中期的な流れとしては、8月に日経平均の安値1万7000円台との見通しを、今のところ堅持する。今週(7月27日~31日)の日経平均の見通しとしては、そうした下落基調のなかにある週だと位置付け、1万9800~2万0500円のレンジを予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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