これが一流と呼ばれるホテルの共通点だ 基本ができなきゃホテルの意味がない

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チェーン展開していないホテルでも、良い眠りの提供が広がっている。ニューヨーク州ニューパルツにある、創業145年のモホンク・マウンテン・ハウス・リゾートは、3年前から睡眠不足の人向けのマッサージをスパで提供している。

マンハッタンのベンジャミン・ホテルはさらに一歩進めて、2年前に睡眠コンサルタントのレベッカ・ロビンスを迎え入れた。彼女は、枕の選び方や就寝前の食事など、睡眠に関するさまざまアドバイスを宿泊客に提供する。

ロビンスが就任するまでは、ベンジャミン・ホテルの枕メニューはほとんど知られていなかった。それを利用する宿泊客はほとんどおらず、ホテルの従業員の中にも、頭に合う最適な枕の選び方を知っている人はほとんどいない状態だった。

スタッフ全員が眠りについて学ぶ

ロビンスはコーネル大学で睡眠について研究をしており、今では同ホテルのスタッフに年に2回講義を行っている。総支配人からキッチンのスタッフまで全員に対して、どのようにすれば宿泊客により良い眠りを提供できるかを話す。総支配人のステーブ・サッソは、「ベンジャミン・ホテルのスタッフが睡眠の大切さについて教育を受け、質問にも答えられるので、お客様に喜んでもらえる」と言う。今では、高価な「クラウド・ピロー」、音楽が流れる「ララバイ・ピロー」、妊娠した女性のお腹をサポートできる「マタニティ・ピロー」など、何種類もの枕を揃えている。

同ホテルでの良い眠りの追求はさらに続いている。

たとえば、夜遅くに到着した宿泊客向けに、リラックスでき消化も良い食事メニューを提供する、部屋に遮光カーテンをかける、ホテルのフロントが宿泊客に「お休みなさい」コールをして、もう活動を終えて休む時間だと伝えるなどだ。また、ロビンスが宿泊客の眠りに関する相談に、個別に応じることもできる。

「これこそがホスピタリティだ」と、アトモスフィア・リサーチ・グループの旅行アナリスト、ヘンリー・ハートベルトは言う。「ホスピタリティとは、顧客のニーズを推し量り、それに応じようと気を配ることだ。予期できるニーズだけではなく、予期できないニーズにも応え、顧客を心から喜ばせるのだ。もっと多くのホテルがそうできたら、素晴らしいだろう」。

一般的なホテルへの浸透はこれから

しかし、睡眠に関するサービスは高級ホテルでは提供されているが、一般的な宿泊客が利用するホテルには、まだ広がっていない。

シカゴのコンラッド・ホテルに最近宿泊し、枕メニューを試した32歳のマーク・モラビッツは言う。「このサービスには今まで出会ったことがなかった。五ツ星のホテルだから、こんなサービスもあるのかもしれない」。モラビッツは前職で非営利の教育プログラムに関する仕事をしており、多い時で月3回は出張していた。しかし、枕メニューや睡眠コンサルタントなど、宿泊客個々人に合わせてより良い眠りを提供するようなサービスは経験したことがなかった。彼はスターウッド・グループのホテルを愛用しており、同社のオンラインストアでベッドカバーまで購入したほどだ。

モラビッツはコンラッドの宿泊で枕メニューを利用してアロマセラピー枕を使い、自宅のベッドよりも心地よく眠ることができた。その後で、彼がいつも利用しているホテルでは、なぜこのサービスを提供していないのかと不思議に思ったという。

睡眠コンサルタントのロビンスは言う。「これが当たり前になって欲しいと思う。部屋に新しい機器を加えたり、最新のiPodの充電機を設置したりするのではなく、ホテル業界ではもっと眠りに注目すべきだ」。

(執筆:Brendan Prunty記者、翻訳:東方雅美)

© 2015 New York Times News Service

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