オーベン乱脈経営 迫る強制捜査「Xデー」
かねて乱脈ぶりが指摘されてきた新興企業のオーベン。刑事事件化が必至の情勢となってきた。
(週刊東洋経済2月2日号より)
東証マザーズ上場のオーベン(旧アイ・シー・エフ)を舞台とする乱脈経営に当局の手が迫っている。昨秋来、大阪府警と証券取引等監視委員会が関係者の聴取を本格化、立件に向け水面下の捜査は大詰めを迎えている。
オーベンは2004年から2年間で16社もの株式交換買収を実行、時価総額は一時450億円を超えた。だが、買収先のことごとくが短期間で経営破綻した。本誌は一昨年7月8日号で駐車場会社買収の疑惑を報道。その後、会社側は買収を主導した佐藤克・元社長を民事提訴、約15億円の支払いを求める判決が昨年8月に下されている。
今回の捜査は昨年摘発されたビーマップ株の相場操縦事件の延長線上にある。同事件ではパチンコ攻略情報会社「梁山泊」の豊臣春國被告や仕手筋の川上八巳被告らが起訴された。逮捕は免れたものの、佐藤元社長が豊臣被告らの連絡役を担っていたことも公判では明らかにされている。
榎本氏関連企業に新株
現在、捜査線上に浮かんでいる疑惑は梁山泊関連の広告代理店「大阪第一企画」をめぐるものだ。オーベンは05年2月に8億円相当の新株を交付して大阪第一企画を買収した。が、この買収スキームについては虚偽の情報開示がなされていた疑いが強い。
一つは創業社長夫妻が全株を保有していたとされる大阪第一企画の株主名簿。同社は債務超過解消のため7000万円の増資を買収直前に実施していたが、関係者によると、これを現金で用立てたのは豊臣被告で、社長夫妻は言われるまま名義を貸しただけ。しかも、実態は“カラ増資”で株式交換実施後すぐに増資資金は豊臣被告に返却された。
このため新規発行したオーベン株の行方も社長夫妻は知らない。別の関係者によると、ひそかに交付された先は都内の投資関連会社。川上被告が取締役を務めていたほか、オーベンで最高戦略顧問だった榎本大輔氏もかかわっていた会社だ。榎本氏は元ライブドア役員で、宇宙旅行者の候補だったことでも知られる。
大阪第一に8億円の価値があったかも疑わしい。買収直後に佐藤元社長が資産管理会社を設立するなど、関係者は香港とのつながりが深い。ライブドア事件と同様に不正利益の行き先として香港ルートが浮上する可能性もある。
(週刊東洋経済:高橋篤史記者)
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