BOPビジネスの正しい進め方《第1回》--小分け袋の販売がBOPビジネスではない


 しかし、その後、日本の企業人の間で広がっている「BOPビジネス」は、BOP層を「消費者としてしか見ていない」ことに気がついた。日本企業がBOP層に興味を持つのは、自分たちの製品やサービスを買ってくれる「消費市場」という面にしか目がいっていないようなのだ。

日本で「BOPビジネス」といえば、アジアやアフリカなどの貧困層に、シャンプーなどを小分けにして、商品単価を安くして売ったり、自動車や家電製品の機能を最小限に限った廉価版を販売したりすることだという認識が浸透している。

一方でマレーシア出身の研究者と話をしていると「私が小さい頃から調味料の小分け袋などは町なかで売られていた。今の日本でああいったことが、“BOPビジネス”と呼ばれているのはしっくりこない」と漏らしていた。日本と海外で「BOP」に対する認識に大きなギャップがあることは間違いなさそうだ。

BOP層を巻き込んだビジネスモデルが世界中で脚光を浴びているのは、バリューチェーン全体にイノベーションを起こし、BOP層を貧困スパイラルから脱却させる仕組みだからである。
 
 これまで貧困問題解決は国際開発プロジェクトとして国際機関、政府やNGOが中心的な担い手だったところに、企業のビジネスのノウハウが生かせることがわかり、世界中が注目し始めたのだ。
 
 「BOPビジネス」は単にバリューチェーンの「消費者」のところだけがBOP層になるモデルではない。日本でも有名な事例であるユニリーバのインドの現地法人ヒンドゥスタン・ユニリーバの「プロジェクト・シャクティ」は、貧困層向けにシャンプーを小分けにして売っているが、この事例が世界中で注目されたのは、小分けにして売るからではない。
 
 それよりも、BOP層の女性たちを地元農村部での訪問販売員として職業訓練し、バリューチェーンに組み込み、女性たちに収入が得られるようにしたという、貧困問題解決に寄与するビジネスモデルであったからだ。

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