RIZAPが業績不振から巻き返すには何が必要か マーケティングの大転換「カスタマーサクセス」

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スターバックスやアップルが目指す方向は、その逆である。製品競争力が高ければ、顧客は次もリピートしてくれる。広告投資をしなくとも、客足は絶えることなく、評判を見聞きして新規顧客も着々と積み上がっていく。広告費が少なくなれば、その分利益が大きくなり、それを原資として製品・サービスの競争力を磨くことができる。

製品・サービスの競争力を軸に、高い顧客満足を実現しながら、高い顧客継続率を土台に成長するビジネスモデル。
製品・サービスの弱さを広告費で補いながら、顧客離脱分を上回るような集客によって成長するビジネスモデル。

どちらが、善であるか。そして、ライザップ(チョコザップ)が目指すべき未来はどちらか。そう問われれば、皆さんももう答えは見えているのではないか。

静かなマーケティング革命「カスタマーサクセス」

この考え方こそが、21世紀のマーケティング界で静かに進行した大きなパラダイム転換である。

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20世紀までのマーケティングは、右肩上がりの経済成長の中でいかに新規顧客を獲得していくかだった。マクドナルドもコカ・コーラもロレックスも、成長していくために積極的に広告を打ち、どんどん新規顧客を獲得し続けるマーケティングを行っていた。

だが、そんな時代は過ぎ去った。顧客は広告のクリエイティブやインスピレーションよりも、製品・サービスの持つ本質的価値を重視するようになった。新規顧客の獲得に躍起になっていたかつての企業は、現代では既存顧客を満足させることに力点を置くようになっている。いや、顧客満足(カスタマーサティスファクション)、などという生ぬるい話ではない。企業は顧客からお金をもらい、時間をもらい、その人の人生で叶えたいことのためにエージェントとして働いている。企業が担っているのは、顧客の人生における成功、「カスタマーサクセス」なのである。

中川 功一 経営学者、やさしいビジネスラボ代表取締役

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なかがわ こういち / Koichi Nakagawa

1982年生まれ。2004年東京大学経済学部卒業。08年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。大阪大学大学院経済学研究科准教授などを経て独立。現在、株式会社やさしいビジネスラボ代表取締役、オンライン経営スクール「やさしいビジネススクール」学長。専門は経営戦略、イノベーション・マネジメント。「アカデミーの力を社会に」を使命とし、経営スクールを軸に、研修・講演、コンサルティング、書籍や内外のジャーナルへの執筆など、多方面にわたって経営知識の研究・普及に尽力している。YouTubeチャンネル「中川先生のやさしいビジネス研究」では、経営学の基本講義とともに、最新の時事解説のコンテンツを配信。

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