トヨタ子会社も"下請いじめ"、止まぬ業界の悪習 「認識甘い」摘発の公取委が適正取引整備へ警鐘

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公取委による“下請いじめ”の摘発が活発化している(記者撮影)

「一言で言うと認識が甘い、ということだ」。公取委下請取引調査室の大澤一之・上席下請取引検査官は、TCDを厳しく批判する。TCDは金型費用の未払いにおいて、金型の保管費が部品の購入費用に含まれていると誤認。不当返品では取引先による出荷前検査が、下請法で定義する品質検査などに該当すると誤った認識で運用をしていたという。

大澤検査官は「金型の無償保管や不当返品は取引慣行になってしまっているケースも多く、非常にオーソドックスなケースとも言える。経営者はしっかり法律の中身を理解してほしい」と呼びかける。実際、金型の無償保管はサンケン電気やサンデン、ニデック子会社「ニデックテクノモータ」などが、不当返品はコストコホールセールジャパンなどが、公取委からの勧告を受けている。

金型を扱う部品メーカー幹部は「仕入れ先に無理矢理保管させれば、部品を保管するための土地費用などを発生させてしまう。最も注意を払って対応する部分の1つだ」と話す。

下請法の適正な運営の重要性が増す

公取委によるいわゆる“下請けいじめ”の摘発は活発化している。

ここ数年、公取委による下請法違反による勧告・指導は8000件を超える。背景には岸田政権が中小企業の賃上げ強化を掲げていることがある。インフレによって燃料費や原材料費、労務費が高騰する中、下請けとなることが多い中小企業は取引の力関係から価格転嫁が十分にできず、賃上げ余力を持てない場合が少なくない。

一方、発注側企業に対して「そもそも下請法の中身を全く理解していない事案も少なくない。理解していれば起こらなかったことだ」(公取委幹部)との声も漏れる。中小企業が本来得るべき利益を上げられる環境整備のためにも、下請法の適正な運用の重要性が増している。

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