トヨタ子会社も"下請いじめ"、止まぬ業界の悪習 「認識甘い」摘発の公取委が適正取引整備へ警鐘
特に注目を集めているのが自動車業界だ。下請けいじめは特定業界の問題ではないが、完成車メーカーに幅広いサプライチェーンを持つ自動車業界で取引関係を正常化する社会的意義は大きい。もともと取引先に対する要求が厳しい業界でもあり、「違法とまでは言えなくても、『優越的地位の濫用』に近い行為は産業ピラミッドの上から下まで蔓延している」(自動車メーカー元首脳)。
今年3月には日産自動車が下請け企業36社への納入代金を一方的に減額したとして、再発防止を求める勧告を受けた。違反総額は約30億円で、2004年以降に公取委が勧告した中で過去最高額となった。日産は現在、部品メーカーへの実態調査を進めており、再発防止策の策定に取りかかっている。
2021年には、マツダが部品メーカーから不当な手数料を徴収していたとして下請法違反で勧告を受けている。また、下請法違反の認定ではないが、下請け業者のコスト上昇分を適切に価格交渉しなかったなどとして、2022年にデンソーや豊田自動織機、今年3月15日にはダイハツ工業や三菱ふそうトラック・バスの社名が公取委によって公表されている。
業界団体・自動車工業会が行動計画を改定
業界としても問題意識を持っている。完成車メーカーを中心とした業界団体・日本自動車工業会は、部品メーカーとの取引において原材料やエネルギーといったコストの上昇分は価格に全額転嫁することを目指す、と自主行動計画を改定した。
片山正則会長は「やはり声を上げにくい雰囲気もあると思う。自動車メーカー側から疑問点や問題点がないかを吸い出していかないといけない」と話す。
自動車業界はEV(電気自動車)シフトや車両の電子化が急激に進み、従来の自動車メーカーを頂点とした産業構造が変化しつつある。従来の商慣行が成り立ちにくくなる中、業界の常識そのものを抜本的に見直す時期がきている。
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