とある男性からは退散を意味する「ローズを渡さないでほしい」という極めつきの一言まで飛び出します。恋愛スイッチ全開の男性が見当たりません。撮影期間が過去のシリーズよりも短縮されて約1カ月ほどだったことが多少なりとも影響していそうですが、それにしてもです。
一方、男性陣の言葉尻や塩対応を逃さずにはいられないのか、バチェロレッテ亜樹さんは亜樹さんで果敢に詰めてきます。たとえばデート中の会話で、物理化学者の櫛田創(くしだ そう)さんが悪気なく「バチェロレッテたるゆえんを示せる場面があるけれど、それをやらないよね」と伝えると、亜樹さんは「普通の人に見えている」と解釈し、不満な様子。どうやら「普通」が地雷ワードだったようです。
何としても「普通」を撤回したい亜樹さんが、男性陣に向かって唐突にネイティブ並みの英語で語り始める場面は言うなれば自我との闘いです。熱い恋愛番組はどこに行ってしまったのだろうかと、たびたびあんぐりさせられます。
昭和から令和にアップデート
裏を返せば、ツッコミどころが多く、予想外を楽しむリアリティ番組の醍醐味を味わえます。ただし、バチェロレッテ亜樹さんに対する謎のマウントや過度な揶揄がSNS上で盛り上がってしまっていることは残念です。こうしたリスクはありつつも、最後の最後まで盛り上がりに欠けた恋愛にもかかわらず着実に話題になったのは、注目度が高い人気番組がなせる業なのかもしれません。
毎シーズン同じパターンが展開されるよりも、マンネリ化も防げます。撮影を終えた後に編集上で加えられる演出で新鮮味を出すこともでき、今回は煽る見せ方を極力避けているようでした。番組最大の見せ場である「ローズセレモニー」がサクサク進んでいくのです。バチェロレッテはいったい誰にローズを渡して、誰がローズを受け取って残るのか、本来は緊張感が高まる場面なのですが、音楽やカメラワークが割とあっさり気味の印象を持たせています。
これもバチェロレッテ亜樹さんのパーソナリティに合わせた演出なのかもしれません。既成概念に囚われないスタンスを持っているようですから、高嶺の花を巡る争奪戦という昭和的な構図よりも互いに対等な立場で対話を重視したと考えることができそうです。実際にとにかく話し合いを重ねています。令和版にアップデートした今回が今後のスタンダードになっていく可能性だってあります。もし、こってりした実家デートがこのままなくなってしまうとすると、それだけは寂しい気もします。
これまでの「今度は女が選ぶ番」というキャッチコピーで初代バチェロレッテの福田萌子さんが見せた愛のレッスンも、ディズニープリンセスのような2 代目尾﨑美紀さんのモテぶりも個性そのものです。3代目亜樹さんもスンっに負けない強さがしっかり出ています。恋の化学反応が起きなかった現実をありのままに見せるという番組としての面白さがあるのです。
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