電気料金の大幅上昇抑制へ柔軟な見直しと規制緩和を

再生エネの発電停止時におけるバックアップ電源としての火力発電所の増強や、電力が余るときに余剰分を蓄電する電池の導入、電力会社間で機動的に過不足分を融通するための全国規模での送電網拡充などだ。

特に、蓄電池の導入には膨大なコストがかかる。蓄電池で過不足調整を行う場合、最大で20兆円以上のコストがかかるとする政府試算もある。こうしたコストを上乗せすれば、電気料金は大幅に上昇する。

コストが小さくない以上、買い取り価格の決定は極めて重要な作業になる。電源の種類の違いだけでなく、同一電源内でも発電コストに応じたきめ細かな買い取り価格設定が必要だ。同じ太陽光でも、ソフトバンクのような大規模発電事業者と小規模事業者とでは、単位当たりの発電コストはまったく違う。両者に同じ価格設定をしたら不公平になる。規模が同じでも、立地の違いや、設備が日本製か中国製かなどでコストには差が出る。恣意性を排除し、それらを価格に適切に反映させることはかなり難しい。簡素化した価格設定で妥協するしかないだろう。

欧州の教訓を生かせ

FITは世界40カ国以上で導入され、再生エネ普及に効果があったことも事実である。ドイツ、スペイン、デンマークなどでは発電量の15~20%を再生エネで賄っている。

しかし、これらのFIT導入先進国は、副作用の大きさから制度見直しに動き始めている。ドイツやスペインでは、想定以上のスピードで太陽光発電設備の導入が進み、負担が大きくなりすぎたため、相次いで買い取り価格を大幅に引き下げた。イタリアでは、買い取り価格引き下げに加え、買い取り総額に上限を設けている。スペインなどでは、投機目的の事業者の参入が急増して“太陽光バブル”が発生し、制度見直しでそれが一気に崩壊した。

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