彼らは、LOI(基本合意書)、ROI(投資収益率)、NDA(秘密保持契約)、IPO(新規株式公開)といったビジネスの専門用語を頻繁に口にしていた。
でも、それらは、本当に誰かの役に立とうとすることとは直接は関係のないものだった。
僕は、自分の会社に出資しようとする投資家がいなくて本当によかったと思っている。
顧客と自分以外の誰かを喜ばせる必要がなかったのだから。僕はすべての努力を顧客のためだけに注ぎ込めた。
毎週のように電話が来るようになる
やがてCDベイビーにも、毎週のように、投資会社から投資のオファーをする電話がかかってくるようになった。僕はいつも、「結構です」と即答した。
「事業を大きくしたくはないのですか?」と尋ねられた。
僕は「いいえ、もっと小さくしたいんです。大きくしたくはありません」と答えた。
そう伝えると、毎回、そこで会話は終わった。
無駄遣いできるお金がなければ、無駄遣いはしないものだ。
僕にはプログラマーを雇うお金がなかった。だから本屋に行って、PHPとMy SQLに関する本を25ドルで買い、それを読みながら独学でコードの書き方を覚えた。
必要に迫られると、人は多くを学べる。
CDベイビーを始めてから数年経った後でも、僕はホームセンターで買ったコンクリートブロックの上に板を乗せただけのものを、デスクとして使っていた。コンピュータも自作した。
豊富な資金を得ていた友人の起業家たちは、僕が合計1000ドルで組み立てたのと性能的にはあまり変わらないコンピュータを買うために、10万ドルも支払っていた。彼らは、「最高のスペックのものが必要だから」と言っていた。
でもそれは、顧客により良いサービスを提供することにはつながっていなかった。
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