JR湖西線「強風・比良おろし」に翻弄された半世紀 運行安定性が通勤通学と新幹線連絡特急の課題

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湖西線の使命は2つある。

1つは、大阪・京都と北陸を結ぶ北陸特急の短絡路としての役割である。

大阪―敦賀間の特急サンダーバードは1日25往復運行されている。以前は金沢まで運行されていたが、今年3月の北陸新幹線延伸で敦賀駅発着となり、新幹線「つるぎ」への乗り換えが必要になった。湖西線内全駅を通過するのが基本だが、一部は朝夕に堅田駅、近江今津駅に停車し、通勤特急としても利用される。

湖西線内での特急利用人員は2018年度で9213人(下り片道1日平均)で、JR西日本管内で一番多い。コロナ禍による急減もあったが、2023年は回復基調にあった。

ただ、北陸新幹線敦賀延伸直後となる2024年ゴールデンウィーク、利用実績は前年比90%と振るわなかった。JR西日本に聞くと、北陸応援割終了による反動や、1月の能登半島地震の影響があったという。ほかにも、特急自由席廃止によるピーク時の乗客減、敦賀駅での乗り換えの手間が報道されたことなど複合的な要因が考えられる。

湖西線の課題は秋から春の強風「比良おろし」

湖西線のもう1つの役割は、滋賀県の琵琶湖西岸、湖西地区の通勤通学輸送だ。

利用が多いのは、大津市西部に位置する大津京―堅田間である。5駅計の2019年度の乗車客数は1990年度比で47%増と好調が続く。

大津京駅の乗車客数は2019年度で1日当たり9672人(1990年度比79%増)と線内で一番多い。付近で大規模マンションが次々と建設され、駅利用者は順調に増えている。堅田駅は大津市北西部の中心地で、江若(こうじゃく)交通が周辺地域にバスを走らせている。比叡山坂本駅は、延暦寺と日吉大社の門前町である坂本に近い場所にある。

大津市北部(旧志賀町)小野―北小松間では、湖西線開通後、戸建て住宅の整備が進んできた。京都に近くて地価が安いこともあり、ファミリー向けの需要が増えた。珍しいのは、市立志賀中学校の通学利用で、全校生徒540人の約8割が電車で蓬莱駅まで通う。北小松・比良・蓬莱駅では小学生の電車通学もある。ゆえに強風による運休時の対応が悩みの種である。近年は、地域の少子高齢化、湖西道路の無料化の影響もあって利用減が目立つ。

厳しいのが高島市の近江高島―マキノ間の各駅だ。主要駅である安曇川駅の2019年度の乗車客数は2000年度比71%、近江今津駅は同69%と利用が芳しくない。高島市の高校生の人口(2022年、15~17歳)が2007年比63%に激減した影響が大きい。

長浜市にある永原―近江塩津間の普通は、開業時だと気動車で1日3本、20年前でも交直流電車で同8本と極端に少なかったが、2006年の直流電化で、湖西線新快速が敦賀まで乗り入れるようになった。北陸新幹線の敦賀開業で、今後、新快速の直通客が増えていくかもしれない。

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