なぜGMは「燃費の悪いクルマ」にご執心なのか 利益の過半を稼ぐアーリントン工場を刷新へ

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ちょっと昔を振り返ってみてほしい。シボレー・タホ、GMC・ユーコン、キャデラック・エスカレードといった大型車は、「時代の変化に適応できなかった企業の失敗の象徴」であった。金融危機の時には、3トン近い重量の車は全く売れなかったのだ。

ゼネラル・モーターズは経営破たんに至った。そして政府からの資金により、破綻後に組織を再編成をした際、バラク・オバマ大統領と企業トップは、次のように繰り返し言っていた。シボレー・ボルト・ハイブリッドのような低燃費車を業界の新しい方向性のシンボルとすると。

しかし、ゼネラルモーターズは今、ボルトの12倍の台数の大型SUVを販売している。

ライバルも大型SUVへの返り咲きを計画

アーリントン工場の様子(2008年11月18日撮影、REUTERS/Jessica Rinaldi)

業者からの情報によると、そろそろライバルメーカーも、このおいしいSUV市場に戻ってこようと考えているようだ。

フォード・モーターは2017年秋にモデルチェンジしたフォード・エクスペディションとリンカーン・ナビゲーターを発表しようとしているらしい。また、トヨタ自動車と日産自動車の新しいモデルは2016年か2017年に発表されるのではと見られている。フィアット・クライスラーは完全に新モデルとなるジープ・グランド・ワゴニアを計画していたが、発表は2019年か2020年くらいになるだろう、との情報がある。

アーリントン工場での最も厳しい試練は、扱っている3つのブランドに対する需要に応え続けることである。全てのSUVが24時間以上、2ボディーのプレス、溶接、塗装から最後の組み立てまで25マイルほど運ばれている。250エーカーの土地に440万平方フィートの工場があり、36万5000人が住む町は、ダラス・カウボーイズのスタジアムとシックス・フラッグスの遊園地で知られている。

ゼネラル・モーターズがジェーンズビルのジョニー・プルイットの工場を閉鎖した時、全米自動車労働組合の支部長が同じ車を作るためにアーリントンの南に移ってきた。

「製品の強さを知っているので、アーリントンまで追いかけたかったのです」と、56歳の全米自動車労働組合276支部の支部長がインタビューの中で答えた。「これまでの歴史を見てわかるように、人はお金をかけることを気にしません。例えガソリン代が1ガロン5ドルになっても、自分のエスカレード、サバーバン、タホを所有しようと思います」。

アーリントン工場はものすごいスピードで、土曜も含め3つ以上のシフトで、1日に1200台を生産している。

典型的な生産の内訳は60%がシボレー、30%がGMC、10%から15%がキャデラックだという。キャデラックのディーラーからは、クロームデッキのエスカレードは非常に需要があるので、もっとシェアを増やすべきだと不満の声が出ている。

「『もっとGMC・ユーコン・デナリを増やしてくれ、もっとキャデラックを増やしてくれ』と言うのは簡単ですが、シボレーのお客様だっているんです」とファン・カルロス・ヒメネス工場長は説明する。「『すみませんね、今は他の方のデナリを作ってるのであなたのタホはできませんよ』とはさすがに言えないでしょうよ」。

ヒメネス工場長は、この工場の売り上げがデトロイトのゼネラル・モーターズ本社の経営陣の注意を引いていると言う。「我々が今、本当に必要とされている物を持っているのか。それが確かめられようとしています」(ヒメネス工場長)。

執筆:ベン・クレイマン
追加レポート:ポール・リナート(デトロイト)
編集:ジョー・ホワイト、ジョン・ピカリング

 

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