各地区では、自治会や子ども会への参加者の減少が深刻化している。そうであれば、それぞれの自治会が魅力的な取り組みに知恵をしぼるのと同時に、そうした情報の集約の場、出会いのプラットフォームとして公共図書館をいかしてみてはどうだろう。
移住者は自治会活動にすべて参加できなくとも、各地域で行われている魅力的な取り組みやイベントを取捨選択して、顔を出してみればいい。自治会活動だけでなく、市民活動の告知もいいし、外国から来た人たちに日本語教室を、外国の人が母国語教室を開くのもいい。
「自治」の力をよみがえらせる方法
移住者が喜ぶようなニンジンをちらつかせる自治体は多い。大抵はお金の支援で、わが小田原でも、昔は、新幹線通勤者に補助を出していたと聞いたことがある。
だが、元から住んでいた人たちも含めて、そこに住まう人々が楽しめる街を育てていくのが本筋だと私は思う。そうでなければ、よりよい条件を見つけた人たちは、簡単にこの街を離れていってしまうし、古くから住む人たちは新参者に嫉妬心を持つ。
これらは定住問題にとどまる話じゃない。
近年では、地域包括ケアシステムを中核とした「地域共生社会」の推進がうたわれている。だが、コミュニティ機能がどんどん弱まっていくなかで、地域住民に依存した福祉政策に限界があることは多くの人たちが気づいている。
既存の施設や制度を十分に生かしながら、地域の人間のつながりを強めていく。それは、課題を発掘し、自分たちで解決していく<自治>の力をよみがえらせる土台となる。
図書館を通じた<公共性>の創造は1つのアイデアに過ぎない。地区のつながりだけでなく、地区を越えた人と人のつながりを創り、そこで培われた公共性が自治の力を回復させ、地域に活力をもたらす。そんな街づくりをみんなで考えてみてはどうだろう。
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