被災地のシャッター通りで起業、高1と母の心意気 岩手県釜石市 スモールビジネスでにぎわいを

2011年3月11日に起きた東日本大震災から14年。"復興需要"の終わりとともに、東北の被災地では地域経済が低迷し人口減少も進む。一方、震災後に全国から流入した多様な人材に刺激を受け、新しい挑戦をする地元住民も生まれてきている。
高校1年生の小笠原皐(さつき)さんと母の梓さんも、県外からの移住者にヒントやアドバイスをもらって親子で起業。スモールビジネスで、地域ににぎわいと変化を生み出そうと奮闘している。
「シャッター通り」になった商店街
震災の津波により1000人近い市民が犠牲(死者・行方不明者)になった岩手県釜石市。その中心部から車で10分ほどの高台に立つのが釜石大観音だ。
1970年に建立され、地元では「観音様」「大観音」と呼ばれる釜石大観音は、釜石湾とその向こうに広がる釜石の市街地を見下ろし、展望台からは三陸のリアス海岸が一望できる。昭和の終わりころには三陸有数の観光地や初詣の場所としてにぎわった。

その門前に連なる仲見世通り商店街も、往時は20軒以上の土産物店や飲食店が建ち並び、週末になると何台もの大型バスで駐車場が埋め尽くされたという。だがバブル崩壊や観光スタイルの多様化などによりさびれ、震災が起きた2011年時点でシャッターを上げているのはラーメン店や定食店など数軒。
高台にあるため東日本大震災での津波からは免れた。一時期は被災者や復興工事の作業員の昼食需要があったものの、震災から5、6年たつころには営業している店がゼロになった。

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