鉄道現場で初稼働、JR西「人型ロボ」量産化なるか JR各社への横展開、他産業への拡販もにらむ
2本の腕で高さ12mまでの高所作業が可能。最大40kgの物を持ち上げられ、腕先はチェーンソーやブラシなどに交換することでさまざまな作業に対応する。従来の塗装作業は1チーム5人で行っていたが、使用開始後は3人で対応可能。同様に伐採作業は従来の3人から2人に減る。
この重機は大型アームに取り付けられた人型の重機、コックピット、鉄道工事用車両から構成される。車両は道路と線路の両方を走行可能。現場に到着すると作業員はコックピットに乗り込み、アームを動かして人型重機を遠隔操作する。人型重機にはカメラが搭載されており、作業員が装着するVRゴーグルを通してロボット目線での遠隔操作が可能だ。操縦レバーには人型重機がつかんだ物の重さや感触も伝わる仕組みで、JR西日本の長谷川一明社長は「自分で作業しているような直感的な操作ができる」と胸を張る。
「多機能型鉄道作業用重機」愛称は?
実戦投入に先立つ6月27日、実用化バージョンが都内で公開された。黒を基調とした零式人機と異なり、新たにお目見えした実用化バージョンは青い外殻に覆われている。青はもちろん、JR西日本のコーポレートカラーである。そして、胸に小さく「NIPPON SIGNAL」の文字が。零式人機は胸に「人機一体」と書かれていたので、メーカーが変わったということが確認できる。
試作機と実用化バージョンは何が違うのか。この点についてJR西日本に尋ねると、「耐久性を高めた」(同社電気部電気技術室(システムチェンジ)の梅田善和課長)とのことだった。屋外で作業すれば雨、風、防塵などの対策が必要となる。これが外装を強化した狙いということだ。
当面はこの1台とのことだが、「実際の作業で効果が確認できれば増やしていきたい」(長谷川社長)。さらに今後も開発を継続して、塗装や伐採以外の作業にも広げていく。人機一体の金岡博士社長は「JR西日本で行う作業はほかのJRや鉄道各社にも横展開が可能」と話す。JR西日本で成功すれば、同じように人手不足に悩むJR各社が採用する可能性は高い。
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