鉄道現場で初稼働、JR西「人型ロボ」量産化なるか JR各社への横展開、他産業への拡販もにらむ

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その後の意見交換で、金岡社長は、自分の所有地を本社用地として提供してくれた恩人の存在を明かした。「この人は地元の発展に尽力しており、私たちを支援してくれる条件が滋賀県に本社を置くことだった。だから本社を県外に移転することはまったく考えていません」と滋賀県へのこだわりを強調し、「滋賀県を起点に、自動車産業やコンピューター産業のように、ロボットという新しい産業を作りたい」と夢を語った。「誰もが電卓を使って複雑な計算をするように、ロボットで仕事をするような社会になればいい」。

そして、夢の実現に向け県の支援を要望した。三日月知事は「実証実験のフィールドを提供したい」と回答したが、金岡社長は「県と提携したい」とさらに深い支援を要望した。

スタートアップがいかに良い技術を持っていてもそれでビジネスが進むとは限らない。事業を進めるうえでリスクは付きものだが、信用力がないとリスクを取ることはできない。「県から“応援している”と言ってもらえるだけでも信用力は高まる」。三日月知事も「それなら難しいことではない」として、「具体的に何ができるか考えてみたい」と返答した。

二足歩行型も準備が進む

零式人機の傍らには、二足歩行タイプの「零一式人機カレイド」が置かれていた。川崎重工業が開発したヒューマノイドロボット「カレイド」をベースに、人機一体の力制御技術を組み合わせた。落下リスクのある高所、有毒物質が残る解体現場などでの危険な作業を代替する。8月に発表される予定で、その後は実用化に向け、実証試験に取り組む。零式人機は上半身だけだが、カレイドは完全に人間の形をしている。

ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」、ホンダの「ASIMO(アシモ)」のような人型ロボットはすでに開発されているが、危険を伴う場所で人間の代わりに作業を行うという段階には達していない。新しいロボットがどの程度の作業をこなせるか。JR西日本の人型重機が動く姿を見ていると、期待は高まるいっぽうだ。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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