鉄道現場で初稼働、JR西「人型ロボ」量産化なるか JR各社への横展開、他産業への拡販もにらむ
さらに、その先の将来としてトンネル内の点検、清掃や交通信号機の取り替えなど、長谷川社長は「インフラメンテナンス全般に広げて、労働力不足の解消に貢献していきたい」と意気込む。ほかの業界にも波及して採用企業が増えれば、製造台数が増える。製造を担う日本信号にしても量産化によって利益を稼ぎたいはずだ。
なお、今回の実用化バージョンをJR西日本は「多機能型鉄道作業用重機」と呼んでいるが、あまりにも呼びにくい。人機一体が製造した試作機には零式人機という愛称がある。この点について、梅田課長に尋ねると、愛称を付ける計画はあるようだ。「公募もしながら使用する人たちに決めていただく」(梅田課長)。せっかく人の形をした重機なのだから、「ガンダム」「パトレイバー」のような愛称を付ければ大きな話題を集めるに違いない。
滋賀をロボット産業の拠点に
JR西日本が鉄道作業用重機の本格稼働に向け準備をしていた頃、人機一体は滋賀県草津市にある本社で新たな試作機の開発に取り組んでいた。6月10日には、三日月大造知事が同社を訪れた。
国は有望なスタートアップを育成支援する「J-Startup(ジェイスタートアップ)」という取り組みを行っており、関西から76社が選定されているが、その多くが大阪、神戸、京都といった大都市に本社を構えており、滋賀県の企業は人機一体1社のみ。三日月知事は滋賀県でもスタートアップ支援を強化したいと考えており、人機一体の持つ技術を自分の目で確かめたいと考えたのだ。
知事はまず本社オフィスで金岡社長から事業概要に関する説明を受けた後、隣接する「格納庫」に移動して零式人機のコックピットに乗り込んだ。ゴーグルを着装してロボットの視界をのぞき、作業に応じて操縦桿から伝わってくる感触を確かめながらロボットを動かした。操作を終えた知事は「自分の体を自分で動かしているような感覚で、想像以上にすごかった」と驚きを隠さなかった。
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