鉄道会社が続々参入「eスポーツ」狙いはどこに? 大手私鉄やJR、大会開催や体験施設など開設

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京王はeスポーツへの取り組みについて、「α世代Z世代を中心として幅広い世代に人気があるeスポーツと、沿線に根差して事業を展開する民鉄の事業モデルとの化学反応の可能性を感じました。弊社のeスポーツやe教育(プログラミングをはじめとしたデジタル教育)の取り組みにより、沿線の特に若い層のお客さまと京王グループの新たな関わりを生み出していくとともに、沿線におけるデジタル人材の育成など、魅力的な『まちづくり』を進めていきたいと考えています」と説明する。

大阪メトロ:初心者向けセミナーも開催

大阪メトロは2024年2月に京橋コムズガーデンでeスポーツイベント「メトスポ(Osaka Metro eスポーツ)」を開催した。4日間にわたる大型イベントで、事前申し込み不要で競技会に参加できた。競技種目は「グランツーリスモ7」「ぷよぷよeスポーツ」「FallGuys」「ロケットリーグ」。4つのうち3つがレース系で、わかりやすさを重視したようだ。

競技会と並行してセミナーが開かれていた。内容は「はじめてのeスポーツ 何を買えばいい?」という初心者指南と、「eスポーツって健康・健全!」という、親御さん向けの説明会だ。大阪メトロという、京阪神で誰もが知っている交通機関がこのイベントを実施する意味はeスポーツ業界にとって大きいと思う。

大阪メトロによると、このイベントは「実証実験」の意味もあったという。「大阪メトロが快適な日常生活を送るうえで必要なサービスや、顧客体験価値向上につながる新たなサービスを今後提供していくにあたり、eスポーツが娯楽、エンターテインメント領域にとどまらず、広く活用できる可能性を秘めていると考えて、実証実験という形で取り組みました」(広報担当者)。今後の展開は未定で、今回の実証実験の結果を踏まえて検討するとのことだ。

メトスポ
「メトスポ」の来場者グループ同士で突発的に始まったFallGuys大会。交流の輪が広がる(写真:メトスポ公式Xより)

京急電鉄:川崎の大型アリーナで競技会も?

京急電鉄は2023年にeスポーツを活用した地域コミュニティ「横浜GGプロジェクト」を発足した。eスポーツ事業を展開するVARRELとピーシーデポコーポレーションが連携し、横浜市が後援する。eスポーツを通じた地域コミュニティ拡充が目的だ。プロジェクトではみなとみらい地区の「横濱ゲートタワー」にeスポーツ拠点を設置し、選手の育成やセカンドキャリア支援、高齢者や障がい者向けeスポーツ体験会などを実施している。

ヨコハマゲートタワー eスポーツ拠点
横濱ゲートタワーに開設予定のeスポーツ拠点 (写真:ピーシーデポコーポレーション資料より)

また、京急はディー・エヌ・エーと共同で京急川崎駅隣接地に最大1万5000人収容のアリーナを含む大型施設プロジェクトを進めており、2025年着工・2028年開業予定だ。Bリーグ(バスケットボール)の「川崎ブレイブサンダース」本拠地になるほか、eスポーツ競技会も視野に入れている。

京急沿線の横須賀市も2019年から「YOKOSUKA e-Sports PROJECT」を展開している。eスポーツをまちづくりに生かす目的で、市内の高校にeスポーツ部の設立を支援するなどしている。2022年には同市の谷戸地区活性化事業として上下水道局旧待機用宿舎を整備し、プロeスポーツチーム「BC SWELL」が入居した。これはNHKのテレビ番組「いいいじゅー!!」で紹介され、地域活性化策として注目されている。

羽田空港とリニア中央新幹線品川に接続する京急とその沿線が連携すれば、日本のeスポーツがもっと盛り上がりそうだ。誰かが音頭をとってまとめるなら、それは京急グループの仕事だろう。

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