鉄道会社が続々参入「eスポーツ」狙いはどこに? 大手私鉄やJR、大会開催や体験施設など開設

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JeSUによると、2023年の日本のeスポーツ市場規模は162億1900万円で、2019年の61億1800万円の約2.7倍から右肩上がりの成長となっており、2025年には200億円を突破するという。

市場規模の項目は1位がスポンサー(広告関連)で41.9%、2位がイベント運営で31.0%、3位が放映権で12.7%となっている。ここには従来のスポーツにとって「用具」にあたるeスポーツ対応PC、周辺機器などの売り上げが加味されていない。したがってIT業界への経済効果はもっと大きいだろう。

eスポーツ市場規模
2022年の日本のeスポーツ市場規模 項目別割合 (出典:『日本eスポーツ白書2023』販売開始豊富な情報量で国内eスポーツ産業の市場動向を分析 より)

eスポーツ市場規模は主に企業の支出を算出しており、参加者市場の算出には至っていない。それでも日本のeスポーツファン数は算出されており、JeSUによると試合観戦、動画視聴、地上波番組経験者から推計されている。2019年の482.9万人から2024年は860.9万人に増えており、2025年には1000万人を超えると予想される。日本の人口の約8%がeスポーツに接触する計算だ。

JeSUの発足とこの調査が企業にとって参入の指標になったのではないか。ユーザー数1000万人が見えてくると、ゲーム、コンピューター関連企業以外の、食品、ファッションなどの企業からも注目される。

つまり、鉄道会社がeスポーツに関心を示したことは特別ではなく、あらゆる企業からeスポーツに関心が高まっており、それは鉄道業界も例外ではないということだ。

鉄道会社が注目する理由は?

では、鉄道事業者はどんな目的でeスポーツに注目しているのか、各社に聞いた。

南海電鉄:実は「ホークス」の精神が!

2021年に南海難波駅直結の複合商業施設「なんばスカイオ」に「eスタジアムなんば Powered by NANKAI」を開店したとき、プレスリリースでは「難波を中心としたeスポーツ文化経済圏構築を目指して」と題していた。

つまりこれは難波地域の活性化対策だろうと私は思っていた。2031年度目標で地下鉄なにわ筋線が開業すると、関空連絡特急と空港急行は新大阪発着となり、難波は通過点となってしまう。難波に降りてもらうためには、難波を今まで以上に盛り上げる必要がある。

南海なんば eスタジアムなんば
南海電鉄グループのeスタジアムが運営する「eスタジアムなんば Powered by NANKAI」は南海難波駅直結のビル内にある(筆者撮影)

2022年に南海はeスタジアムなんばの事業を承継し、新会社として「e スタジアム」を設立した。次の展開が泉佐野市との協業だ。同年8月に高校生を対象とした「eスポーツ合宿」を開催し、11月にりんくうタウン駅隣接の商業施設「りんくうバビリオ」に「eスタジアム泉佐野」を設置。市民は無料で利用でき、高校生向けの合宿「eスポーツキャンプ」など積極的に競技会やイベントを実施している。

南海にとってeスポーツは単なる「難波地域活性化」ではないようだ。eスポーツに取り組む理由について聞いた。

「理由は、南海電鉄グループのこれまでの歩みにあります。南海電鉄は、戦後5年後には大阪スタヂアム設立。街の復興に並行して、野球文化の醸成とともに青少年の健全な育成に寄与してきた歴史があります。そして今再び、そのDNAを受け継いだ事業として取り組み始めたのが"eスポーツ"です」(広報担当者)

なんと、プロ野球チーム「南海ホークス(現ソフトバンクホークス)」を育てた南海電鉄の精神が引き継がれていた。

南海は中期経営計画のなかで、公共交通事業、まちづくり・不動産事業に次ぐ第3の柱として新規事業に取り組んでいる。この新規事業の枠の中にeスポーツ事業がある。沿線の価値を上げるためだけではなく、eスポーツそのものに事業の可能性を見出している。

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