鉄道会社が続々参入「eスポーツ」狙いはどこに? 大手私鉄やJR、大会開催や体験施設など開設
■JR東日本:池袋に大型拠点を開設
JR東日本の関連会社「JR東日本スポーツ」は2021年に松戸駅コンコースに常設施設として「Jexer e-sports station 松戸駅店」を開店した。Jexerは駅構内や駅ビルを中心にフィットネスクラブを運営している会社だ。
なぜeスポーツだったのか。JR東日本グループ e スポーツカフェ有限責任事業組合 PR事務局にその理由を尋ねると、「eスポーツは国籍・年齢・性別・障がいを超越してほぼ全ての人が平等に参加できるフェアスポーツであることに注目し、今後拡大が見込まれるeスポーツ市場において、イベント等を通じて地域活性化に貢献したい」とのことだった。
同店は駅改良工事でコンコースを広げるため2023年10月に閉店したが、2024年1月、新たな拠点として池袋駅東口の「Café&Bar RAGE ST」の2階に「Jexer e-sports station」を開店した。Café&Bar RAGE STは1階がカフェ&バーエリア、2階がグッズエリアとなっている。「RAGE(レイジ)」はCyberZ、エイベックス・エンタテインメント、テレビ朝日が運営する国内最大級の e スポーツエンターテインメントのブランドで、コンテンツパートナーとして参加している。日本のeスポーツ文化としてもかなり大きな常設拠点といえる。
新規事業創出プログラムがきっかけに
■東京メトロ:鉄道会社らしい?ユニークな大会
東京メトロは3月にeスポーツ大会「TOKYO METRO CUP STREET FIGHTER 6(東京メトロカップ ストリートファイター6)」を開催した。決勝大会はJCG豊洲スタジオでオフラインで開催し、YouTubeチャンネルにてLIVE配信され、約2万人が観戦した。演出の随所に東京メトロの路線や駅名標をあしらっており、試合を中継するMCも鉄道員のコスプレ、背景は地下鉄車内というこだわりようだ。決勝戦終了後、チャット画面の「鉄道会社らしく時間通りに終った」というコメントが面白かった。
東京メトロとeスポーツの関わりは「eスポーツジム 赤羽岩淵店」だ。2021~2023年に、赤羽岩淵駅直上のビルにて運営していた。eスポーツ教育事業を展開する企業、ゲシピとの協業で、東京メトロは同社に資本参加している。
きっかけは東京メトロが2016年から開催している「Tokyo Metro ACCELERATOR(東京メトロアクセラレーター)」という、同社の経営資源と社外のアイデアや技術を組み合わせて新規事業創出などを目指すプログラムだ。この中でゲシピの「東京メトロ沿線でのeスポーツジムの展開」が採択された。
東京メトロは、「eスポーツの裾野を拡大し、東京の魅力・活力を創出することが目的です。年齢や性別・国籍・障がい等の壁を超えて、誰もが参加することができる共生社会やダイバーシティ社会の実現に大きく寄与する点に、eスポーツの魅力を感じております」(広報担当者)という。
「eスポーツジム 赤羽岩淵店」はゲシピとの協業を解消し「eスポーツジム」としては閉鎖したが、引き続きeスポーツを活用した就労移行支援やシニア向け施策を中心とした店舗として運営していくという。
■京王電鉄:今やeスポーツのブランドに
京王電鉄は2023年に期間限定で笹塚にeスポーツ体験施設を開設、その後に「KEIO eSPORTS LAB. CHOFU(京王eスポーツラボ調布)」を調布に常設している。また、2023年2月にはオンライン形式で大会「KEIO CUP Apex Legends(京王カップエーペックスレジェンズ)」を開催。2024年1月に東京ドームで開催された「東京eスポーツフェスタ2024」内では「KEIO CUP STREET FIGHTER 6(京王カップストリートファイター6)」を開催した。「KEIO CUP」はeスポーツのブランドとして浸透しつつある。
2024年3月には東京都調布市の武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナにて「京王電鉄eスポーツ祭」を開催した。格闘ゲーム大会「京王電鉄 Presents 鉄拳8 3on3 Tournament」は40チームが参加。また、オンラインカードゲーム「Shadowverse(シャドウバース)」のプロチーム選手とのオフライン対戦会や、「IdentityV 第五人格」という、追う側追われる側に分かれて生存を競うゲームの日本予選大会を大型スクリーンに映し出し、eスポーツ選手とウォッチパーティ(パブリックビューイング)も行われるなど盛りだくさんの内容だった。
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