像が「55万円で落札」"金次郎"の謎を解いてみた 「歩きスマホ」助長の真相と見直されるSDGs精神
「最近の注文は幼稚園や企業からがほとんど。親孝行をしようとか、一生懸命に働こうとか、金次郎像は生きる指針になる。だから今も製造の依頼が絶えないのだと思います」と、同社の藤田益一会長は語る。
金次郎像づくりは手間がかかる。
長い冬の間、雪に閉ざされる高岡の銅器産地は金次郎像をつくるのに向いていた。
「全国に建てられた金次郎の銅像の9割以上は高岡産だと思います」(藤田さん)
また、難易度も高かった。
「失敗する確率が高くて、1体注文を受けても通常の鋳物の3つぶんくらいの値段をつけないと、割に合わなかったと、先代から聞いています」(同)
鋳造技術が大きく進歩した現在でも、難しいという。
「一番手間がかかるのが、背中に担いだ『柴』で、細かい細工が必要です。できるだけ忠実に、という思いでつくっています」(同)
金次郎像はSDGsに通ずる
最近では金次郎像に新たな意味も見いだされている。昨年11月、小田原市立町田小学校に金次郎像が設置された理由の一つが、自然との調和を図りながら経済活動を行うことの大切さを説いた報徳の精神が「SDGsに通ずる」だった。
江戸時代に持続可能な社会の実現を目指して活動した金次郎。その教えは今だからこそ、理解されやすいのかもしれない。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)
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