日本の食文化史年表 江原絢子、東四柳祥子編

日本の食文化史年表 江原絢子、東四柳祥子編

精緻な食年表の刊行は至難の業だが、まとめ上げた編者の労を多としたい。飢饉、流行、事件、国際関係、新商品など食にかかわる多彩な内容にあふれ、読み物としても記述が非常に面白い。成敗されそうになった信長の料理人の話や、鯛(たい)を榧(かや)の油で揚げた流行料理を食べ腹をこわし間もなく死んだ家康の話なども詳しく記述されている。明治天皇の肉食に反対した御岳行者が皇居に乱入したとも……。

特に興味深いのは戦中戦後の耐乏生活だ。スイカや落花生は作付けが規制され、ガスをたくさん使う家庭にガス穴閉鎖班が出動し、週刊誌にゲンゴロウの幼虫やサナギの食べ方特集が載ったなどなど。終戦とともに「鉄兜を鍋に替える町工場が大繁盛」ともある。紙面に変化をつけているのが多数の挿絵と写真で、これを見るだけでも楽しい。年表の膨大さのためか索引に若干の疎漏が感じられるのは惜しまれるが、本書を超えるものは当分生まれないだろう。(純)

吉川弘文館 5250円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ゴルフとおカネの切っても切れない関係
  • 360°カメラで巡る東京23区の名建築
  • ブックス・レビュー
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
東大 京大 合格者ランキング<br>平成31回の入試で浮かぶ名門校

平成の31年間に東大、京大の合格者を多く出した学校はどこか。東大王者は不動の開成だったが、京大トップは洛星、洛南、西大和に北野と近年は激戦。ゼロから名門校にのし上がった学校も。勢力図の変遷が透ける各200校リストをご覧あれ。