飲食店や農家が出品「SC内の直売店」にぎわう背景 「わくわく広場」のビジネスモデルに迫った
もう1つの「壁」は、売り場内で起きる出品者同士の競争と競合だ。品質や味に対するクレームも評価も直接出品者の元に届けられ、毎日売れ行き比較の勝敗がつく。
人気の弁当の真横に、見た目やロゴをまねた割安な商品を置いて客を誘導する出品者や、納品に関するルールを順守しない出品者も現れたり、カレーやナンなど作りやすく売りやすいメニューを中心に陳列台が埋まったりする現象も出てきた。
創意工夫と自由な挑戦を促すつもりが、互いの足を引っ張りかねない、売り場全体の価値を損ねかねない状況に、運営者としてどう対処するのか。出品者の自立と自由を尊重するタカヨシにとって、改革手腕が今後ますます試されることになるだろう。
真似されるビジネスでも存続する理由
「このビジネスはきっとすぐに真似される」
店を始めた頃、髙品会長は周囲によくこう言われたというが、実際にこれだけの規模で直売所を展開している企業は珍しい。事業が存続し、成長し続けられるのには、仕組みのユニークさ以外にも理由があるだろう。
売り場には、出品者の土地柄や人柄が映し出され、一般的なスーパーでは出会えない多国籍の料理、珍しい旬の食材に出会える。「目利き」を発揮するのは小売企業でもバイヤーでも卸業者でもない、いわば”直接民主主義”の担い手である客だ。つくり手の参入障壁が低く、誰にでも開かれ、健全な競争や協調が求められる店は、民主的なあるべき社会の縮図のようでもある。
つくり手が主役になれる流通システムが求められるのは、万国に共通する。タカヨシが海外展開を意識したビジネスのブラッシュアップに動いた時、わくわく広場は「生産者のためのリアルのプラットフォーマー」として、今後さらなる経済成長が見込まれる東南アジア、そして世界へと、拡大していく可能性は十分にある。
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