飲食店や農家が出品「SC内の直売店」にぎわう背景 「わくわく広場」のビジネスモデルに迫った

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髙品会長自身、農家を営む家庭で育った。「家族経営で人手が足りず、日中農作業で電話に出られない」「安定的な供給の約束はできないが、直接販売できる安定した場所はほしい」。そんな農家の事情を考慮して設けたのが、対面で広報活動をする営業社員たちだという。

加えてもう1つ重要視しているのが「出品者のやる気を駆り立てる」(髙品会長)、システム開発とデータの提供だ。スマホやパソコン上でリアルタイムに店舗ごとの販売状況を確認することができ、生産量の調整や納品頻度、来店客数の分析や販路開拓の吟味に役立てることができる。

また、産直野菜や弁当類の開拓とは別に、全国各地の小規模メーカーがつくる希少な調味料類を発掘する事業「和シュラン」では、千葉にある物流センターで一括管理して各店舗に配送する仕組みを持ち、これらの組み合わせによって独特な産直チェーンが支えられている。

運営体制のすべてに「生産者にとって使い勝手のいい売り場にしたい」という髙品会長の理念が貫かれ、売り場には絶妙な規律と秩序が生まれている。

食品スーパーやデパ地下が競合に

とはいえ、実際に「使える舞台」にしていくには、既存の商習慣や強固な流通形態の「壁」をいかに乗り越えていくか、試行錯誤の連続だったという。

「壁」の代表例は、同じショッピングセンターや近隣店にある食品スーパーやデパ地下との競合だ。

「実際に、『わくわく』に商品を出すなら、正規のルートでは扱えないと卸業者や組合に言われ、生産者の直売が制限される事例も少なくない」(髙品会長)

だが、出品者側も知恵を絞る。制約の外にある隣の地域の店に商品を出すなど、あの手この手で「わくわく広場」を自分たちのものにしようと喰らいついてくる。そんな生産者の意気込みに背中を押されるように、タカヨシは全国の空白地を埋める勢いで出店拡大に動いている。

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