飲食店や農家が出品「SC内の直売店」にぎわう背景 「わくわく広場」のビジネスモデルに迫った

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「わくわく広場はたくさんの問題を解決してくれました。自分たちで1日3000食分近くの売り上げをつくるには、新たに店舗をいくつも持たなければできません。それだけで億単位の投資が必要です。(参加している)生産者全員が、わくわくさんに心から感謝しています」と博文さんはいう。

一方で、中華弁当の販売実績が積み上がっていくにつれ、店の厨房設備にも限界が出てきた。衛生面への対応も強化する必要がある。弁当販売の展開に、さらなる成長可能性を見た金融機関から融資の申し出を受け、盛安商会は近隣に800坪の用地を確保し、最新設備を備えた弁当の生産工場を建設中だ。8月中旬に稼働する予定で、「わくわく」を軸にさらなる販路拡大を見込んでいる。

わくわく広場 ふうみ屋
中華弁当の生産拡大に向け建設中の新工場を案内する戴博文さん(筆者撮影)

冒頭でも述べたように、全国各地の大型ショッピングセンターや格安スーパー、百貨店の一角や隣接地に「わくわく広場」はある。創業者は同社の髙品政明会長(77)だ。

ホームセンターのスペース有効活用が始まり

自動車販売の営業職から、ガソリンスタンド、カー用品店、カラオケボックスなどの経営を経て2000年、自身が手掛けるホームセンターのスペースを有効活用する目的で直売所を設けたのが始まりだ。

わくわく広場
「わくわく広場」創業者の髙品政明会長(筆者撮影)

わくわく広場は、自由で多彩な売り場がすぐに地元客の評判を集め、ほかの自社店舗内に売り場を増やしていった。

路面店からさらに生活圏に近いショッピングセンター内へ、出店の軸足を移したのは2009年ごろから。それを機に事業は軌道に乗り、現在31都道府県に186店(24年5月末現在)、登録事業者数は3万件を超えた。

出品者の自由度が高い一方で、運営はどう成り立っているのか。運営者のタカヨシの売り上げは、販売実績に対してかかる25%の手数料(生鮮・総菜等)になる。商業施設との賃貸契約からレジの対応、店内の清掃を担うことが表向きの役割だが、裏方にこそ、タカヨシ独自のビジネスモデルが機能している。

もっとも注力するのが、売り場を彩る出品者の開拓だ。全国各地で在宅勤務するコールセンターのスタッフ35人が、店舗周辺の飲食店などをリサーチし、弁当や総菜の出品を依頼する。先述の盛安商会はまさに、この電話を受け、弁当製造のきっかけをつかんだのだ。さらに、店舗近隣の農家を直接訪問して、青果などの納品を依頼する17人の専任スタッフがいる。

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