日経平均「再度の4万1000円突破」は十分に可能だ 「米国利下げ後ずれ」「中国減速」のリスクは?

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このようにお金に着目すると、中国経済は減速感が強まっている。だが、他方で実体経済は思いのほか安定している。たとえば、4月の固定資産投資は前年比プラス4.0%と小幅ながら減速も、昨年後半からは持ち直し、前年割れを回避している。不動産投資が同マイナス10.1%と減少する中、製造業は同プラス9.6%と緩やかな加速基調にある。

中国経済減速と平成バブル崩壊はどこが異なるのか

製造業の内訳ではコンピュータ・通信・その他電子機器といったIT関連財が同プラス12.5%と高い伸びを維持しているほか、EV市場の拡大もあって自動車が同プラス5.8%とプラス圏にある。この指標を見る限り、不動産市場の悪化がその他の生産活動を蝕んでいる様子はない。もちろん、こうした粘り強い投資活動は、資本財を中心に日本企業の中国向け売上高に貢献する。

中国経済を巡っては、1990年代前半における日本のように、人口減少という不可逆的な逆風の下で、不動産市場の悪化を起点とする不況に突入するとの懸念がある。しかしながら、現在の中国経済は良くも悪くも緩やかな減速にとどまっており、製造業PMIをみても50超で安定している。

1990年代前半の日本では、日銀短観の業況判断DIが、坂道を転げ落ちるような速度で低下するなど、急速な景気減速に直面していたが、現在の中国経済はそうした悲劇的な状況にはない。これらに鑑みると、日経平均が4万1000円を突破するとの予想に大きな下振れリスクはないと思われる。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

藤代 宏一 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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ふじしろ こういち / Koichi Fujishiro

2005年第一生命保険入社。2010年内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間『経済財政白書』の執筆や、月例経済報告の作成を担当。その後、第一生命保険より転籍。2018年参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。2015年4月主任エコノミスト、2023年4月から現職。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当は金融市場全般。

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