日経平均「再度の4万1000円突破」は十分に可能だ 「米国利下げ後ずれ」「中国減速」のリスクは?

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筆者は9月FOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)における利下げを予想している。このように軟調なデータは、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長が繰り返し言及してきた「利下げを待ちすぎることのリスク」をFEDに再認識させたとみられ、9月の利下げ確率を高めたと判断される。

FEDは拙速な利下げによって景気が加速し、それが労働需給の逼迫を通じて賃金上昇率の再加速につながり、インフレ率が反転上昇することを恐れているが、そうした懸念をよそにインフレの根幹にある労働市場データは軒並み弱含んでいる。

JOLTS(アメリカ労働省が発表する労働需要の動向を示す指標)求人統計では求人件数、失業者数に対する求人件数の割合、自発的離職率が低下しており、またNFIB(全米独立企業連盟)中小企業調査でも企業の人件費計画が下方屈折している。企業側からみれば、人手不足の解消よりも労働コスト削減の優先度が高くなっているのかもしれない。

FEDの利下げ遅れが株価下落のリスクとならないワケ

そして、ここへ来て8月に予定されている雇用統計の年次基準改定によって雇用者数が、昨年と同様に大幅な下方修正が加えられるとの見方もある。2023年の改定で過去1年の雇用者数が30万6000人分も下方修正された経緯があるため、今年も改定前後で労働市場の評価が変化する可能性には注意したい。

パウエル議長は、雇用者数の増加それ自体は移民の爆発的増加を反映したものにすぎないため、大きく取り扱わないとしてきたが、それでも雇用者数が大幅に下方修正されれば、9月FOMCの政策判断に一定の影響を与えるだろう。

そう考えると、早ければ8月22~24日の日程で予定されているジャクソンホール・シンポジウムでパウエル議長が何らかの形で利下げを示唆する可能性がある。ここまでをまとめると、FEDの利下げが遅れて株価が大幅に下落するリスクはさほど大きくないと言える。

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