ちなみにその上司の方は、ある意味でテンパッテいるのです。だって2人だけの営業拠点ですよね? 彼のほうには会社や彼のそのまた上司からさまざまなプレッシャーがかかってきており、正直、目先の営業成績を上げることがすべてにおけるプライオリティになっているのだと思います。
同時にそんな拠点を任されるのですから、「営業マンとしては」優秀なのです。ところが、いわゆる「伝説の営業マン」タイプの人には、管理職としてはどうよ? という人が多いものです。もしかしたら、Y.T.さんの上司も、そんな感じなのかもしれません。
「管理職としてどうよ?」となってしまう理由は、おそらく自分でやったほうが早いと感じてしまい他人に任せられずに自分で動いてしまうとか、自分がなまじっか優秀であるがゆえに、他人が何でわからないのか、あるいはできないのかがわからない、即効性のあることを求める傾向があるので、漠然とした悩みなんか聞いていられない――などといったことがあるのでしょう。
言い換えると、部下が何に苦戦しており、どんな問題を抱えているのかを、「自分からは」把握しにくいタイプの方が多いのかもしれません。ただ、営業で優秀な方は、自分のやり方でやってほしいとは思いつつも、ほかの方法でも結果さえ出ればよい、という姿勢のはずです。営業という結果が見えやすい仕事で成果を上げてきた方にとっては、結果がすべてなので、そこは重要なポイントです。
やはり大事なのはコミュニケーションをとること
Y.T.さんとしては、求めている成果について、マメにコミュニケーションを取ることが必要です。つまり何を期待されているのか、その中でどんな問題をY.T.さんとして抱えていて、具体的に上司にどう助けてほしいのか、そういったプロセスを前面に押し出したコミュニケーションです。
言い換えると、お互いに営業上の結果だけで判断するのではなく、その前提であるプロセスの部分についても納得していることが必要です。こうした議論をする土壌作りをしてみましょう。
これは、上司も期待をしているかもしれません。「わからないことや助けてほしいことを自分で言って来い、もっと積極的になってくれ!」と思われているのかもしれません。
個人で結果を出してきた方には、そのような人が多いのです。そのような人は、いったんわかり合える(部下の抱えている問題が見える)と、けっこうマメに教えてくれたりするものです。
要は最初の門をどうくぐるか、です。Y.T.さんのケースでは上司からの歩み寄りや上司が変わることは想定しにくいので、Y.T.さんからコミュニケーションの取り方や報告の仕方を変える必要があります。
自分だけがそんな努力をしなければならないのか、と思われるかもしれませんが、たいていのケースにおいて、自分が変わるほうが相手を変えるよりも楽です。それによって得られる結果も明白です。
そんな努力を進める前提は、仕事と上司を通じて成長できる感触をY.T.さんが持っていると見受けられるからです。チャンスがあるなら、自分がちょっと変わってでもつかんでみましょう、ということです。
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