すばらしいことをしようとしているときは、革命を起こしているようには感じられないものだ。むしろそれは、常識にとらわれずに何かに挑戦している感覚に近い。
CDベイビーが成功したことで、僕は生まれて初めて、「みんなが本当に欲しがるもの」をつくった。
そこに至るまでの12年間、僕は様々なプロジェクトを成功させようとがんばり、ありとあらゆるマーケティング手法を試した。
必死になって人脈をつくり、プレゼンし、売り込みをした。
風向きが変わるというのは、どんな感じか
でも、それは常に向かい風を受けているような苦しい戦いだった。鍵がかけられた扉や、目の前でバタンと閉められた扉をなんとかこじ開けようとしているような感じだ。
なんとか前に進めたとしても、そのためには膨大な努力が必要だった。
でも、それが今は……。ワオ! まるで、ヒットソングを書いたみたいだった。
たとえば、あるソングライターが100曲、曲を書いたとしよう。そのなかの1曲がとつぜん、人々の心をつかんでヒットすることがある。
ヒットの理由は誰にもうまく説明できない。その曲がとにかく優れているから、というわけでもない。
いろんな偶然が重なったり、いくつもの要素が魔法みたいに組み合わさったりして、その曲は大勢の人に愛されるようになるのだ。
ひとたびヒットが生まれると、それまで閉ざされていた扉が、とつぜん大きく開き始める。宣伝をしなくても、口コミでどんどんと良い噂が広がっていく。
需要を生み出そうとするのではなく、莫大な需要に対処しなければならなくなる。
では、僕がこの経験から学んだ教訓とは何か?
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