日テレ、広告の「新型取引」でCMはどう変わるのか 広告主側が持っていた「不満」を解消できる?
だがこれだけではテレビCMの復権は果たせないだろう。以上のようなことは、広告主だってわかっている。ただテレビは、その莫大なリーチの中身に問題があった。
テレビCM取引で、広告主側が持っていた不満がこの「中身」にある。例えば視聴率が高く10%あるとしても、その大半は50歳以上の女性「F3」で占められることが多い。20~34歳の「F1」にCMを見せたい広告主からすると、不満に思うだろう。しかも枠の値付けは視聴率が基準なので高い。値段が高いのに欲しいF1が少ないようでは割高に感じてしまう。
一方、視聴率が3%しかないのにF1がたくさん見ている番組があるなら、値段は安いのでお買い得枠になる。
これまでのスポット取引では、割高枠も割安枠も交ぜて一緒くたに売られていた。出稿量が多い「お得意さん」の広告主は「F1含有率を少しでも高くしてくれ」と要望することもあるそうだ。それができたとしても、なんとも不合理な取引をしていた。広告主からすると、F1だけ買えればいいのに余計な部分にまでお金を払っている気持ちになる。一方、テレビ局としては本来は価値がある枠も、ほかと一緒に売ることになっていた。バルク売りと同じで、私が思うに結果的には安売りになっていた可能性がある。
これまでの15才から「10才刻み」に
AdRMのインプレッション取引では、広告主が望めば「F1だけ」を取引することもできる。ただ、AdRMではターゲット設定をこれまでの15才刻みではなく、10才刻みにする。18-24才、25-34才、35-44才のようにこれまでより細かく刻む。これはまた、ネット広告のターゲット分類に合わせているのだ。
だから「1月1カ月で、F18-24を5000万imp買いたい」のようなオーダーができる。これまでは「200GRP買いたい」としか注文できなかったのが、ターゲットを指定して発注ができるようになる。これはテレビCM取引として画期的な変化だ。
ネット広告では、1カ月で18〜24才の女性に5000万impの広告出稿をしてくれと言われたら、慌てふためくだろう。LINEとInstagramと、あそことあそこに広告出稿してそれでも足りない!となるのではないか。
だがテレビCMで1カ月の間に同じターゲットに5000万impを獲得することは可能だ。
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