日テレ、広告の「新型取引」でCMはどう変わるのか 広告主側が持っていた「不満」を解消できる?

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さらにこれまでのテレビCMは素材を4営業日前までに納品する必要があった。これをAdRMでは放送直前まで素材を受け付ける。刻々と変わる社会状況に応じてCM素材を差し替えることも可能になる。

わかりやすいところでは、天気や気候に合わせて臨機応変に素材を変えることができる。今年のように梅雨入りが遅く、また突然梅雨入りするような場合でも、梅雨向けの素材にパッと切り替えることができる。あるいはスポーツの試合結果に合わせたCMを流すことができる。

もちろん、CM考査は事前に済ませておく必要がある。メディアにとって広告素材の考査はいま重要視されているが、そこは事前にきちんと済ませておき、ストックしておいて直前にどれを放送するかを選べるようになる。

インプレッション取引とは?

こうした技術的な新しさと並行して、テレビCMの価値が高まる可能性があるのが、インプレッション取引だ。テレビCMは受発注の単位が視聴率の合計値であるGRP(Gross Rating Point)だった。ある商品のCMを2週間で200GRP流したいとのオーダーに、例えば10%の視聴率の枠を10回、5%枠を20回確保して応える。

ではインプレッション取引とは何か。インプレッションはネット広告の基礎単位で、広告が1回表示されると1インプレッションとカウントする。さらにそれが何%クリックされたかなど、そこから派生する指標も多々あるが、基本はインプレッションでimpと表記する。

AdRMでは、これまでの視聴率=%をインプレッションに換算して取引する。どうすればいいかは、単純な話だ。インプレッションは何回表示されたか。視聴率はその瞬間に何%の人が見たかだから、人口をかければ表示数に換算できる。「視聴率×人口=インプレッション数」の公式で算出できる。

例えば最近は個人視聴率が5%などという番組はざらにある。以前よりずっと低いわけだが、大雑把な計算をすると1億2000万人×5%=600万インプレッション、ということになる。

一度に600万もインプレッションが獲得できるネット広告はそうそうないと思う。インプレッション取引では、テレビCMのリーチ力が莫大であることが明らかになり、その広告効果が見直される可能性があると私は見ている。

例えば人気YouTuberの動画が100万回再生されるとすごいと思うだろう。だが、テレビ番組の視聴率が下がって5%しかとれない、と言われるが600万インプレッションなら、100万回のYouTube動画より多いことになる。しかも動画は数日かけて100万回になるものだが、テレビCMは一瞬で600万だ。テレビはオワコンと言われるが、なんとまだまだいけるではないか、とならないだろうか?

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