ホンダ社長が語る「2040年脱エンジン」の行程表 ホンダならではの魅力的なBEVを実現できるか

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そして3つ目の方策が「生産技術・工場の進化」である。

ギガキャスト、メガキャストなどと呼ばれる、要するに6000トンクラスの高圧ダイキャストマシンが導入される。まずはオハイオに作られるバッテリー工場の薄型バッテリーパックの製造ラインに導入され、これにより60以上にもなる構成部品、付帯部品の数を5部品にまで削減するという。

さらに日本の栃木にある研究所にも、やはりメガキャストマシンが導入されて、現在は量産性の検証が行われている。将来的にはボディ骨格部品への適用拡大も検討しているということだ。

その他に複数のモデル、商品の進化に柔軟に対応できるフレックスセル生産システム、生産能力最適化に繋がるデジタルツインの導入などが、カナダのバッテリー工場にまず導入される。一方、当面は内燃エンジン車の混流生産が行われ、EV専用工場へとスムーズな移行を図っていくという。

この「生産技術・工場の進化」は、何よりコスト低減に大きく貢献する。バッテリーコストは2020年代後半にはマイナス20%、生産コストは専用工場でマイナス35%を実現するという。ROS 5%という強気の目標設定には、こうした裏付けがあるわけだ。

10年間で10兆円を投資

ただし、それを実現するための投資額も半端じゃない大きさになる。2021年度を起点とした2030年度までの10年間に於けるソフトウェア、バッテリー、モノづくり各領域への投資額は実に10兆円に及ぶ。

(資料:ホンダ)

「とてつもない数字で、言うのは結構勇気が要ったんですよ(笑)。でも、やらなきゃどうなるのかと言えば、やはり会社が潰れるって思っているので、決して無謀ではない。もちろん、議論もあったし色々なご意見はあるんだけども、われわれとしては前に進もうと決めたので、そこを明確に発表したということです」(三部)

そのためのキャッシュを創出するのは現時点では内燃エンジン車とHEVであり、実はその体質強化も2030年に向けた大きなテーマとなる。2030年、あるいはそれ以降に向けたホンダの4輪ラインナップの目論見、そして内燃エンジンの今後についても見てみよう。

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