ホンダ社長が語る「2040年脱エンジン」の行程表 ホンダならではの魅力的なBEVを実現できるか

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2024年の1月にラスベガスで発表した「ゼロシリーズ」。フラッグシップの「SALOON」は低全高でショートオーバーハングの特徴的なスタイル(編集部撮影)

単なるコンセプトの提示ではなく、それを実現できる技術的な裏付けがそろったところで発表になったというゼロシリーズ。目をひくのは300マイル以上という航続距離だ。今の他社動向からすると、控えめな数字である。

「BEVの車重を減らしたいと思っていて。バッテリーを沢山積む方向はやめたい。400マイルだって沢山積めばできるんですけど、われわれは逆で行く。コストを下げたいというより、やっぱBEVってクルマが重過ぎるんですよ。直線ではむしろ非常に軽く感じるほどですが、曲がるとやっぱりわかりますよね」(三部)

高効率であることはもちろん走りにもこだわる。これもホンダならではという話に繋がるところだろう。

「BEVのエネルギー変換効率の高さを活かした電費の追求。その結果として搭載するバッテリーの量が減り、軽量化にも繋がっていくと考えると、重要なのはやはり電動としての基本の部分をどれだけよくするか。それが今一番、力を入れているところです」(青山)

まずはクルマの基本素性を高める

内燃エンジンのないBEVは走りの差別化が難しいとよく言われる。それに対しては、まず軽く、重心が低く、空力に優れるといったクルマとしての基本素性を高める。それは効率性にも効いてくる。

「BEVという文脈だけで見ると差別化要素は若干減りますが、車体や運動性能といった今のクルマが持っている技術的な要素は(現行販売モデルから)受け継がれていくので、そこもきちんと入れていくということですね」(青山)

例えば、新型アコードに投入されたシャシーの総合制御技術であるモーションマネージメントシステムなどは、次世代BEVにも進化した形で搭載される。走りの味は、そうやって継承、進化していくというわけだ。

ただし、操って楽しいというだけが、特に将来に向けたクルマの価値というわけではない。空間価値やデジタルUX、そしてAD/ADAS(自動運転・運転支援)などの知能化という部分も、今回改めて強調されていた。

「自動運転は思った以上に早く来ると私は言ってるんです。技術がだいぶ変わってきていて、その昔は、大量のデータと高精度マップをベースに、センサー、レーダー、カメラなど50個近くの機材を積んでの力ずくでやっていたわけです。コンピューティングパワーなんかはもう5kWぐらいの消費電力で。ところが今、極端に言えばそれらはカメラだけで、あとは人間の脳に近い能力を持ったコンピュータがその目で見て、地図がなくても走っていくという技術が急速に進化していて。クルマの価値のゲームチェンジが起こると考えています」(三部)

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