“社長公募”のユーシン、社長交代を延期した理由とは--田邊耕二社長に聞く
次期社長候補を公募したことで話題を集めた自動車部品メーカーのユーシン。ただ、社長交代の時期は、当初の予定よりも遅れている。
2011年5月には、外務省のキャリア官僚だった八重樫永規氏(48)、フェリカネットワークス取締役の丸子秀策氏(48)がそれぞれ、社長、副社長候補として取締役に就任。「半年ほど現場を学んでから、社長と副社長に昇格する予定」(田邊耕二社長)としていた。
しかし、同じ5月に田邊社長の次女の田邊世都子氏が取締役に就任。8月には田邊社長が会長職を兼務し、取引先の米国人のクリストファー・チャールトン氏が取締役に就任する人事を発表。それとほぼ同じ時期に、「自動車業界の知識習熟に不十分」(会社側)という理由で、予定していた八重樫氏や丸子氏の昇格の見送りを決定した。一連の人事からは、社長交代の流れが退潮しつつあるようにも見える。公募で選んだ候補への社長交代は本当に実現するのか。田邊社長に聞いた。
--八重樫氏の社長就任が先送りになったと報道されているが。
最初は取締役就任後の半年ぐらいで、自動車業界に習熟するかと思っていた。自動車業界はいろんな要素が積み上がって仕事が成り立っている。1つひとつの要素の重要なポイントを知らないと無理。それを覚えるのに時間がかかっている。その勉強が、半年では難しかった。
だから今度は、メキシコに行ってユーシンの新工場建設のアウトライン作りを担当してもらう。半年ほどかけて現地の雇用情勢や工場立地の選定、サプライヤーの選定などの計画を作ってもらう。その計画を見れば大体、八重樫君の力がわかる。詳細がはっきりするまで、半年以上はかかる。来年2月の定時株主総会には間に合わず、3月ぐらいになるだろう。