昨今、人材業界では「タレントマネジメント」という考え方が広がっています。きらびやかな芸能界の話ではありません。会社員1人ひとりが持つタレント(才能、素質、技能、経験値など)を数値化することで、結果を出す仕組みを整えようというものです。
この考え方では、個性がない社員は、会社にとって魅力的な人材ではなくなります。
得意ジャンルが見えないから、チーム編成に組み込みにくい。何を考えているかわからないので、課題を共有しにくい……。このような、特徴がなく能力が明確でない、その他大勢の「群衆その1」の行き着く先は、リストラしかありません。
だから、会社員でも「個性」や「存在感」を磨き続ける必要があるのです。
AIやロボットに置き換えられる?
近年「AIやロボットに置き換えられる職業」がよく話題になりますが、実は、自分の職業がなくなるか、なくならないか、私は、問題はそこではないと思っています。
なぜなら、「なくなる職業」は、人口減少が叫ばれている社会全体で見ると、そもそも人間がそんなことをしている場合ではない、さっさとAIやロボットに任せて人間はほかにやるべきことがあるという仕事だからです。
私たちは人間として、人間しかできない価値を提供する使命があります。
今やるべきことに注力していれば、その延長線上に次なるキャリアが見える……という「現在志向」の考え方では、この先、人生は必ず破綻します。前提となる「今」が、めまぐるしく変化しているのですから。
AIと共存する社会を、1人の人間として生き抜くためには、「未来」を考える姿勢が絶対的に求められます。「未来志向」の生き方です。
そこで、まずは自分の5年後、10年後、20年後のありたい姿や目的地をできるだけ具体的にイメージしましょう。そのビジョンの達成に向けて取るべきアクションプランを策定し、それに従って行動していくのです。
人が提供する価値は、「機能的価値」と「情緒的価値」の2つに分類できます。AIやロボットに置き換えられるのは機能的価値、置き換えられないのは情緒的価値です。
機能的価値とは、商品やサービスの機能や性能がもたらす価値のことです。
例えば弁護士だったら「法律の知識があり、状況に応じてその知識を提供できる」こと。医師であれば、「病気を診断できる医療的知識があり、手術や薬の処方などの医療的技術、能力がある」ことを指します。
営業や販売の仕事に従事する人であれば、「商品を理解し、提案して、お客様と販売契約を結ぶ」といった一連の業務ができることですし、トレーナーやインストラクターであれば「特定の技能をお客様に教え、それができるように指導する」ことです。
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