「この拭き方は、医療現場では寝た状態の患者さんの体を拭く際に実践されている方法なので、知っている看護師さんは多いようでしたが、僕は知りませんでした」
この指摘は理にかなっていると思った赤石さん。そのエビデンス(科学的根拠)を確認しようと調べてみると、そのような研究はまだ存在していないことがわかった。
「そこで、トイレ後の拭き方と尿路感染症リスクの関係を科学的に明らかにするために調査してみようと思いました」(赤石さん)
赤石さんは早速、トイレ(大便)後のお尻の拭き方と尿路感染症の発症リスクの関連を検討する研究として、2020年4月から2023年3月まで、東北大学病院と気仙沼市立本吉病院(宮城県)を受診した男女に対し、アンケート調査による横断観察研究を実施した。
参加者には、年齢や性別、「トイレ後にどのように拭くか」「過去に尿路感染症で通院歴が何度あるか」のほか、感染リスクを高める「糖尿病の有無」などの質問に回答してもらった。
結果として、30~60代を中心に男性141人(年齢中央値47歳)、女性153人(同48歳)の計294人が回答した。
なぜ拭き方が尿路感染症のリスクに?
調査の結果、女性の68人(44%)、つまり女性の半数近くがトイレ後に、「前から⼿を⼊れて」拭いていることがわかった。残りの84人(55%)は、「背中側から手をまわして」拭いていた。このほか「拭かない」という人が1人いた。
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