「授業中の水分補給禁止」学校が大炎上した必然 生徒を束縛するブラック学校へのモヤモヤの正体

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1〜2年ほど前には、関西地方の私立高校をめぐり、えり足を切りそろえた髪形を強いて、違反した場合には退学処分の可能性もあるとする校則が、「人権侵害ではないか」と話題に。この髪形は数十年前から規定されているものだった。

学校全体で校則として定められていなくとも、運動部などでは部内の「掟」として、顧問やコーチによる厳しい指導が与えられるケースが、しばしば問題視される。つい先日も、中部地方の県立高校で、負けた部員たちに丸刈りを強要したことが報じられていた。

中高生より少し上になるが、筆者の出身大学でもある日本大学の「悪質タックル」問題も、根っこには同様の問題があると考えている。縦社会を必要以上に強いることで、「社会規範よりも、コミュニティー内の秩序を優先すべき」だという価値観が、悪い方向に進んだ結果と言えるだろう。

そもそも校則で縛れば縛るほど、かえって反発したくなるのが、生徒というものではないだろうか。早世した某ミュージシャンが「支配からの卒業」を叫んでから、まもなく40年がたつ。ではなぜ、最近になって、立て続けに問題視されるようになったのか。

「その背景には、時代の変化がある」と言うと、そんなの誰しも気づいていると感じるはずなので、いくつか具体的に挙げてみよう。

「教育」ですべてが許される時代は終わった

まずは、なんでも「教育」と言えば許される時代ではなくなった点だ。これは学校のみならず、家庭でのしつけも同様だが、「あなたの将来を思って、わざと厳しくしているのだ」的な主張が、なかなか受け入れられなくなった。

その要因として、人権や意思が重んじられる時代になったことが考えられる。個人を尊重する価値観が普及するにつれて、権利の強制剥奪と捉えられかねないような指導は、敬遠されるようになってきた。

たとえば「下着の色」を校則で定め、場合によっては教職員によるチェックを行うといった指導は、セクシャルハラスメントの文脈において言語道断だとの意見が、いまや多数派だ。また、運動中に「水を飲むな」といった教育方針も、生存権に関わると、現在ではほとんど支持されていない。

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