振興銀への免許は不当、行政検証委員会が指摘した金融行政の「落ち度」
日本振興銀行に対する銀行免許は「妥当性を欠く不当な免許」であり、金融庁は免許を付与すべきではなかった--。
8月26日、日本振興銀行の破綻を受けてつくられた行政対応等検証委員会(草野芳郎委員長ほか顧問含む6名)は、報告書でこう結論づけた。
委員会は自見庄三郎金融担当相の指示で今年2月に設立。内部資料や関係者のヒアリングを通じた委員会の検証ポイントは、銀行免許を認可した妥当性と、認可後の振興銀行に対する指導監督の適否の2つだった。
新銀行立ち上げの契機は、竹中平蔵金融担当相(当時)の就任からわずか1カ月後の2002年10月に公表された「金融再生プログラム」。その作成メンバーの1人として、金融庁顧問だった木村剛氏(元日本振興銀行会長)が入っていた。同プログラムの中では、主要行の不良債権問題解決を強調する一方、「中小企業貸出に関する担い手の拡充」として、「銀行免許の迅速化」が明記される。
検証委員会の調査では、同プログラム実行が金融庁の政策であるため、新銀行の申請を不許可にできる雰囲気ではないと考えていた職員の存在がかなり認められたという。
03年に申請を行った振興銀行の場合、あらためて収支や自己資本の確認を行うことなど、4つの条件付きで予備審査終了の通知が出された。しかし、報告書は、「予備免許の審査の過程で積み残した重要課題の検討の多くを素通りして、本免許を交付した」とし、免許付与までの審査の不十分さを詳細に指摘している。ただ、「実行ありき」の雰囲気がなぜ醸成されたのかについては、釈然としない。
もうひとつの焦点である指導監督の適否は、免許付与の検証とは対照的だ。内容は銀行法の説明から始まり金融検査の実施時期、業績動向など、単なる事実の羅列ばかり。