モロッコはアメリカとFTAを締結している。ということは、モロッコで加工・生産した原材料を使って電池を製造すれば、それを組み込んだEVはアメリカ市場でインフレ抑制法の優遇措置を享受できることになる。
それだけではない。モロッコはEUともFTAを結んでおり、地理的にも近い。こうしたメリットが中国の電池材料メーカーの投資を引きつけ、2023年だけでも雅化実業集団、華友鈷業、中偉新材料、貝特瑞新材料集団などがモロッコでの工場建設を発表した。
そこに国軒高科の電池工場が加われば、モロッコの電池産業のサプライチェーンは(原材料から電池の完成品まで一貫生産できる)より充実したものになるはずだ。
筆頭株主はドイツのVW
とはいえ、車載電池のグローバル市場における国軒高科の存在感は、現時点では決して大きいとは言えない。
市場調査会社SNEリサーチのデータによれば、2024年1月から4月までに生産された新車に搭載された国軒高科製の電池は合計4.8GWhにとどまり、世界シェアは2.2%、メーカー別の順位は世界第9位だった。
そんな国軒高科がモロッコへの大規模投資に踏み切った背景には、同社の大株主の意図が働いているとの見方もある。国軒高科の筆頭株主はドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの中国法人であり、発行済株式の24.68%を保有している。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は6月7日
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